2013年1月16日水曜日

準備と合併症への対応。~医療行為を行う心得~

町田です。

一昨日に関東一円を白く染めた大雪も、群馬の平野部ではほとんどその姿を見なくなりました。
昨日に引き続き今日も朝から真っ青な空が広がり、ドクターヘリも朝から続けざまに出動していました。
ただ寒さはまだ厳しく、日の当たらない路面はまだ凍結しているところがあり、時々自転車通勤中と思われる学生たちの転倒する姿を見かけました。皆さん、お気を付けください。



救急外来や集中治療室で患者さんの診療をするに当たり、診断を付けたり治療のために患者さんの体に針を刺す『穿刺』という医療行為があります。

例えば、緊張性気候に対する『胸腔穿刺』、心タンポナーデに対する『心嚢穿刺』など緊急穿刺もあれば、検査と治療を兼ねた『関節穿刺』、『胆嚢穿刺』、それ以外にも点滴をとったりすること自体も血管への穿刺行為です。これらのことは病院だけではなくドクターヘリで出動した現場でも行われており、特に救急医療においても1日たりとも行われない日がない医療の一つです。

【穿刺(せんし)】という言葉を辞書で調べると以下のように書いてありました。
体外から血管・体腔内や内臓に注射針を刺すこと。検査のため体液などを吸い取ったり、体内にたまった体液やうみを排出したり、治療のため薬物を注入したりするのに行われる。

ちなみに『穿』『刺』それぞれの意味も調べてみました。
【穿つ(うが・つ)】穴をあける。掘る。また、突き通す。貫く。
【刺す(さ・す)】先の鋭くとがったものを中に突き入れる。突き立てる。突き通す。


人の体に針を刺すことは、外科医が手術でひとの体に傷をつける事と同じく、医師免許がないと犯罪行為になります。逆にいうと医師免許を持つことは、このような行為を行うことで患者さんを治療するという任務が与えられます。そして、人の体を刺すということに伴うリスクとその責任を負うことになります。

医師には知識のみではなく職人的な要素が必要だと思います。いくら知識にあふれていても、その知識を患者さんに提供できなければ全く意味がありません。そのためには医療行為の腕~技術~を磨くことも必要です。


若手医師ももちろんこのような技術を覚えていただき、どんどん治療の幅を広げていきたいと考えています。そのためには新人への指導を行わなくてはいけません。患者さんを練習台にすることは決して許されませんからね。

そこでいつも大切になるのが、事前の準備です。
患者さんの体位をどうするか、どのような資器材を使用するかなど、まず行うことに対するしっかりとした準備ができないといけません。颯爽と真っ先に手術着になり、『あれ下さい、これ下さい』と周りに頼むようではいけませんね。最近は様々な穿刺キットが発売されていて、そのキットの中にすべての道具がそろっていることがありますが、実際に最初の患者さんへの消毒から穿刺した針の固定まで一通り自分で準備できる若手医師がどれくらいいるでしょうか?以前は1個でも準備が足りなかったその行為をすることさえ許されなかったことがあります。いま、そのようなことをしたら逆に指導医が怒られてしまう時代かもしれませんが、患者さんの体に針を刺すことはそれだけ責任重大ということです。

そして次に大切になるのが、合併症への対応のイメージを持っているかです。
もちろん合併症を起こしてはいけませんが、本当にマイナーなトラブルを含めて医療行為に合併症0%で行い続けることはきわめて困難です。合併症やトラブルが発生した時に、どのように安全に対処するかの方法をきちんと持っていないといけません。このことは経験から学ぶこともありますが、想定されるリスクをきちんとイメージし合併症がおこった時にいかにリカバリーショットをうつかまで考えておく必要があります。

指導医によってさまざまな意見があると思いますが、最近の若手医師の手技を指導しながら、準備と合併症への対応のイメージを持っていることが穿刺の成功の9割を占めていると感じる今日この頃です。

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