2011年5月20日金曜日

早期要請、早期接触、早期治療・・・そして連係プレー!

集中治療科・救急科&フライトドクターの町田です。



朝の群馬ヘリポート。
JA6910は北(病院)へ、JA6908は南(東京)へ同時に飛び立ちました。

症例検討会の翌日はフライトドクターの当番日でした。JA6910(BK117C-2)が無線チェックで2日間お世話になっていたJA6908(MD902)とは群馬ヘリポートでお別れです。群馬ヘリポートから病院に戻り、当科の朝のカンファレンスに顔を出した途端にドクターヘリ出動のPHSが鳴りました。

1例目は労働災害での要請で、現場に最も近いランデブーポイントを設定していただきました。初めて使用するところでしたが現場直近であったため、ランデブーポイントの安全確保の間に上空から現場をみて事故の状況を把握することができました。患者さんの初療を行いけがはありますが幸い安定していたので、直近の総合病院に救急車に同乗して搬送となりました。その病院にはドクターヘリで診療した患者を初めて搬送しました。早期に高度の医療が介入し、病状に応じて地元の病院で見ていただく・・・これもドクターヘリによる医療の早期介入の効果だと考えています。
ランデブーポイントの学校に戻ってきたら、その学校の先生より“熱中症に気を付けてください!”と飲み物の差し入れをいただきました。本当にありがとうございました。(この後立て続けに要請があったので、本当に助かりました。)


上空からランデブーポイントと現場が同時に見えます。
ランデブーポイントの設定は現場にできるだけ近いこの距離感が大事です!


2例目は交通事故で救出中の要請でした。複数傷病者が発生していましたが、幸い1名は軽傷で、重症そうな1名をドクターヘリで対応しました。救出中の要請で現場医療派遣を念頭に活動が行われており、患者さんに早く医療を始めさせようという消防の皆さんの気持ちが伝わってきました。

3例目は、2例目のミッションが終了し屋上ヘリポートから救命センターに戻る途中での要請でした。消防覚知同時要請です!ドクターヘリは要請から3分で離陸、そして1例目と同じ消防本部から今回も現場に最も近いランデブーポイントを設定です。ランデブーポイントの安全確保の間に今回も現場の様子を確認・・・かなりまずそうです。最も近いランデブーポイントのすぐ隣のランデブーポイントのほうが安全確保が早くできるとのことで、ランデブーポイントを変更しすぐに着陸。救急隊もすでにランデブーポイントに向かっているとのことで、万全の準備をして救急車が到着するとともにすぐに飛び乗りました。
接触時は橈骨動脈がふれず意識は全くなし・・・でも呼吸はしっかりある・・・ここはあわてず3日前にJATECインストラクターで指導したことを思い出し落ち着いて診療開始です。A(気道)ok、B(呼吸)okで、やはりC(循環)の異常です。フライトナースはすでに末梢静脈路を2本確保済みで、すぐに初期輸液療法を開始です。その間にエコーでFASTを施行、“胸腔・腹腔内は液体貯留なし、外出血はコントロールがついている・・・”そうなると残されるのは後腹膜への大量出血です。状況より骨盤骨折はありそう・・・そんな中、輸液が300mL入ったところで橈骨動脈が触知できるようになり、患者さんが目を開け手足を動かすようになりました。“初期輸液に反応あり!”の評価と同時に骨盤簡易固定を実施。その後も輸液全開投与している限りは血圧90台を維持している状況で、意識レベルも改善傾向あり切迫するDはなく、Eもok。ここまでくればこれ以上現場で輸液を入れつづけても、今度は逆に血液が希釈され血が止まらなくなる可能性が高くなり、つづけて輸血、止血術を行うために早期搬送としました。隣県ですが現場から最も近い救命センターに受け入れていただき、輸液が1000mL入ったくらいで病院に到着、すぐに輸血、止血術を行っていただきました。

その後その患者さんはさらに高度の集中治療管理が必要とのことで、翌日に栃木県防災ヘリ“おおるり”で高度救命救急センターである当院に転院搬送され、さらに追加の手術と集中治療室での継続治療が行われています。ちょうどICUの当直で一晩その患者さんの対応を行い、今朝を迎えたところです。

栃木県防災ヘリ“おおるり”が飛来しました。
安全確保のため群馬県防災航空隊の方がいらっしゃってくれました。
また搬送元病院のドクターカーで、医師もかけつけてくれました。

患者さんをひきつぎ、当院で継続治療を行います。
初療を行っていただいた病院の皆様、今回の転院搬送でご協力いただいた
栃木県防災航空隊の皆様に心より感謝いたします。


ドクターへリ症例検討会では早期要請、早期接触、早期治療について毎回訴えさせていただいておりますが、さっそく翌日そのことが実行されたことはうれしいことです。でも今回のような早期要請、早期接触、早期治療が当たり前であるように、群馬県ドクターヘリの活動の質をさらに高めていこうと考えています。関係者の皆様は、今まで以上にご理解ご協力のほどよろしくお願いいたします。

2 件のコメント :

  1. ひとつの生命を繋ぐために,数え切れない人たちが全力を注いでいる。。。
    ひとつの生命は,数え切れない人たちによって支えられている。。。

    私たちは,生命の大切さをもっともっと真剣に考えていかなければならないのだと思います。

    私は自分の職業を通して,このことを子どもたちに伝えることができるよう頑張っていきたいと思います。

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  2. itakuraさん

    フライトスタッフ、消防本部、現場救急隊、搬送先の病院、消防、防災航空隊、当院スタッフ、すべてが“命を救う”という同じ目的で動いています。だからこそできる連係プレーだと思っています。どこか一つでも目的達成を面倒くさがると、ドクターヘリの活動は衰退し単なる運び屋になってしまいます。
    itakuraさんには、いつも子供たちに命の大切さを伝えていただいており、本当に感謝しております。これからも、学校と消防、病院が協力して、子供たちの心に残るような形でメッセージを伝えられるといいですね。

    返信削除

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