250件・・・感染症との戦い!

集中治療科・救急科&フライトドクターの町田です。

現在当科で取り扱っているホームページ&ブログは3つあります。
①集中治療科・救急科ホームページ
②群馬県ドクターヘリホームページ
③高度救命救急センタースタッフブログ
いまはインターネットの時代です。皆さんに普段の活動を紹介し、また興味を持っていただきたいと思い(願わくは当科に見学→就職という甘い期待もあり・・・)昨年より開始しています。
これらは前橋赤十字病院のホームページとは独立して運営されていますが、前橋赤十字病院のホームページも只今リニューアル中で、5月初旬をめどに新ホームページが公開される予定です。僕も病院のホームページに掲載するページについて協力させていただきましたが、ありがたいことに前橋赤十字病院の新ホームページから上記①②③にリンクできることとなりました。
病院の新ホームページ公開まであと数日・・・こうご期待ください!



ICUの中ですぐに標本の作製可能です。

本日の日記のタイトルの“250件”とは何の数字だと思いますか?今回はドクターヘリとは関係ありませんよ。
実は今年の元旦から先週末までにICUで行われたグラム染色による塗沫顕鏡の数です!

高齢化時代を反映するように以前よりICUの入室者の平均年齢が高くなっている印象があります。免疫能の低下や合併症を持っていることが多いため、特に細菌感染のリスクが高く、またICU入室時にはすでに肺炎などの感染症を併発されている方が多いのが事実です。
できた標本は、すぐにICU内の顕微鏡で
見ることができます。
(同じセットがERにもあります!)
発熱があり感染を疑わせる患者さんがいると、感染源を見つけるためにいろいろな検体(喀痰、血液、尿、髄液など)を採取して細菌検査室で培養検査を行います。しかし培養検査の結果が出るまで数日かかるため、その間に治療がなされないと細菌がどんどん体を攻撃してしまいます。そこで採りたての検体の一部をグラム染色という方法で染色し、顕微鏡でのぞいて菌の有無や大体の菌の種類を判別します。それによりより適切な抗生剤の選択ができたり、不要な抗生剤の使用を避けることができます。
グラム染色のセットはICU、ERに常在してあり、慣れてくると検体採取してから数分後には感染症に対する治療方針を提示することができます。集中治療科・救急科医と集中治療室当番の麻酔科医、当科をローテーションしている研修医で、感染症の早期治療のため毎日検体を染色し顕微鏡を覗いています。すでに1年目の初期研修医も自分で標本を作り顕微鏡に向かっています。
これらの積み重ねの結果この4か月弱で顕鏡した検体数が250件という大きな数値にりました(ちなみに先週1週間だけでも45件)。当院は高度救命救急センターであり各科の先生方も重症患者さん、合併症の多い患者さんの手術や転院を積極的に受け入れて頑張っています。当科としても一人でも多くの患者さんにICUでの治療を提供したいと思いつつ、常にベッドコントロールを強いられるほど混雑しているICUですが、このような地道な活動の積み重ねでも患者さんの1日でも早い一般病棟への帰還の大きな力になり、そして新たな患者さんを受け入れるベッドを用意することができるようになります。

僕自身は当院に来て初めてグラム染色を行いましたが(外科系で働いていた8年間グラム染色をしたことがありませんでした・・・)、本当に短時間でできる割に本当に多くの情報を与えてくれることに驚いたとともにもっと早くから知っておけばよかったと思いました。当科スタッフが感染症について様々な検査をするにあたり、当院細菌検査室の金子技師長をはじめスタッフの皆様にいつも多くのことをご指導いただいております。今でもICUやERで顕微鏡をのぞいてわからないことがあると、その標本を持って細菌検査室のもとに走っていき一緒に顕鏡していただきます。
ちなみに当科では本人の希望があれば約2週間の細菌検査室での研修が可能で、すでに多くの当科スタッフがローテーションでまわっています!

グラム染色の顕鏡の結果をもとに、ICUに入院中の患者さんの
オーダーを検討中のICU当番の当科スタッフと研修医。

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