仕事場紹介 vol.3 ~救命センター病棟~

寒さが一段と厳しくなり、群馬の山々の頂もすっかり白く染まってきましたが、当院がある前橋市内には全く雪がありません。
前橋市は群馬県の県庁所在地で人口約34万人の地方都市ですが、スキー場まで30分以内にアクセスができる距離内にあるにも関わらず、積雪のない30万以上の都市は世界でも珍しいとのことです。(ちなみに高速道路沿いのスキー場は30分くらいで着きますが、山深いスキー場へは1,2時間はかかります。また、前橋市内も年に数回は雪が積もります。)今年は雪が少ないためなのか、スキー場へのドクターヘリの出動も少ないですが、スキー場が多く存在する地域の管轄の消防本部がスキー場の駐車場をランデブーポイントとして追加してくれました。スキー場での怪我には十分気をつけていただきたいとともに、まさかの時はすぐに出動できる準備は整えています。

ところで当科の仕事の当番は“ドクターヘリ”“救急外来”“集中治療室”がありますが、もうひとつ大事な仕事があります。それは当科に入院となった患者の主治医となる“病棟当番”です。熱傷、中毒といった救急科専門疾患の管理から多発外傷など多くの科にまたがって診療が必要な場合の調整役(司令塔!)として存在しています。重症のため全身管理や集中治療が必要な患者は、集中治療室でICU専属医と協働して診療に当たりますが、それ以外で最も入院先として多く利用されている病棟が“救命センター病棟”です。
今回、仕事場紹介シリーズ第3弾として、この“救命センター病棟”をご紹介します。


☆☆仕事場紹介 vol.3☆☆ ~救命センター病棟~

救命センター病棟は、救急外来、集中治療室と同じ高度救命救急センター1階にあります。現在運用しているベッド数は24床(うちCCUを含む個室は8床)です。おもに脳血管疾患の急性期、脳神経外科術後、循環器疾患の急性期、心筋梗塞・狭心症のカテーテル治療後、また外傷や重症疾患で一般病棟へ転棟可能になるまでの全身管理を要する患者も入室します。集中治療室から一般病棟への橋渡しとして救命センター病棟で管理するときもあります。その他、中毒、多発外傷、精神科救急など当科主治医の患者も積極的に受け入れている病棟です。

看護師と入院当番医で相談中・・・
事細かに話し合いますよ!
このように多種多様な疾患、重症度が集まる病棟を、43人(うち男性8名)の看護師が支えてくれてます。特に脳血管疾患、心疾患の患者が多いこともあり、意識レベルの変化、呼吸状態・循環動態の悪化、心電図モニターの変化にはいち早く気がつき、重症化する前にすぐ次のアクションを起こしている非常にスピーディーな病棟です。最近はICUが常に満床状態が続いているため、ある程度状態が落ち着いているICU患者を、当病棟が積極的に受け入れています。その受け入れのお陰で、ぎりぎり何とかベッドがまわることができ、本当に助かっています。




ドクターヘリで搬送された多く患者も、
集中治療室や救命センター病棟
に入院します。
また当院は精神科の入院ベッドがありません。しかしながら精神科疾患をわずらっている方の急病は、当院をはじめとする救命救急センター、3次救急対応病院が対応し、多くの搬送が行われているのというのが現在の群馬県・精神医療の実情です。そしてそのような患者が入院する場合も当病棟に入院する場合がほとんどです。そのような患者にいかに対応するか、また今後どのようにしてあげられるかを話し合うためにの“救急精神科チーム”が当病棟看護師を中心に結成されており、看護師、精神科医、救急科医で定期的にカンファレンスを行っています。
救命センター病棟は、重症患者を心身両面からアプローチして、この先の一般病棟での治療やリハビリテーションにつなげる大切な病棟です。



vol.1 集中治療室、vol.2 救急外来、vol.3 救命センター病棟、これらすべての仕事場でスタッフが一生懸命に救急患者、重症患者に対応していただいてるおかげで、私たち集中治療科・救急科医が治療に全力を注げることができています。高度救命救急センターの役割をさらに果たして行くために、これらの仕事場の横のつながりをもっと強力にしていけるようがんばろうと思います。
最終的に患者は一般病棟に転棟していくことが多いのですが、救急科は特定の病棟を持っていないにもかかわらず、どの病棟にも温かく受け入れられ、その協力には感謝するばかりです。


次回の仕事場紹介は、“ドクターヘリ運航に関わる部屋”の予定です。

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