「防災・減災シンポジウム2018」にパネリストで参加しました。

中村です.
今回の北海道胆振東部地震において亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに,避難されている方々の1日も早い日常生活の回復をねがっております.
当科からは9/8より日赤災害医療コーディネートチームとして町田副部長が日赤北海道支部で活動を開始しており,また9/10より日赤医療救護班として藤塚副部長を胆振東部での活動に派遣する予定です.


群馬県の医療者の会話の中で「群馬は災害起きないから・・・」ということをよく聞きます.果たしてそうなのでしょうか?

817日(金)に群馬県公社総合ビルで行われた『防災・減災シンポジウム2018』に参加しました.この企画は,群馬県と公益財団法人群馬県建設技術センターおよび上毛新聞社の主催で行われました.

最初に,技研コンサルタント・文化財研究所顧問 能登健さんが,「類聚国史」という歴史書に818年(弘仁9年),上野国(群馬県)で大きな地震があったと記されており,自分達が調べた赤城南麓での地割れや山崩れの跡と地層の年代的にも一致したことをご報告されました.

次に,関東学院大学 防災・減災・復興学研究所研究員 若松加寿江さんが,群馬県の多くの市のホームページには地震防災の記事が無く関心が薄いのではないかと指摘され,想定外の無い計画を行政に限らず職場や家庭でも立てることが必要であることをご説明されました.

その後,私を含め5名によるパネルディスカッションを行いました.パネリストは
広島大学大学院教育学研究科 社会認識教育学講座 准教授 熊原 康博さん
火山灰考古学研究所長 早田 勉さん
シンガーソングライター 牛来 美佳さん
群馬県県土整備部長 中島 聡さん
・前橋赤十字病院 高度救命救急センター長 中村 光伸
です.

熊原さんは,空中写真を見ていた時の違和感から調査を行い群馬県にある代表的な断層である「太田断層」を発見されました.片品川左岸断層も実は左岸だけでなく右岸に断層が確認されているため「片品川断層」と呼ぶのが適切だとのことでした.

早田さんは,「群馬県に災害が少ない」というのは人間の時間的感覚であり過去の記録からみると群馬県でも地震が起きており人的・物的被害は出ていることを強調されました.

シンガーソングライター 牛来 美佳さんは,福島県浪江町出身で,東日本大震災の際に群馬県の太田市に避難され今も同市で生活をされています.発災時,勤務中だったとのこと.自宅や職場,外出先のどこで何が起きても家族や同僚,知人,友人とのコミュニケーションを大切にして欲しいと訴えました.

中島さんは,県として昨年度見直しを行った「緊急輸送道路ネットワーク」や落石対策,橋梁耐震化,無電柱化などを中心的に行っていること,発生後は道路啓開が重要であることを説明されました.

群馬県で最も危険な断層である「深谷断層」による地震が発生した場合,約17000人の負傷者が発生,その中で生命の危険性のある傷病者は2000人程度発生する可能性があります.群馬県内の17災害拠点病院が中心となって医療を行いますが,すべての傷病者を収容できるわけではないため被災地外へ搬送する体制作りを行う必要があります.

群馬県は災害が起きていないのではなく,我々の記憶の中に無いだけであって,過去を振り返ると『地震』・『洪水』・『噴火』は県内でも起きています.発災当初は,いろいろな支援を受けることが出来ますが,最後は自分達で復興していかなければなりません.県,市町村だけでなく地区や家族で災害が起きた時の対策を具体的に立てておくことが必要であると感じました.

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