小児外傷も病院前からしっかり向き合えるように!~「ITLS Pediatric Course」受講報告~

お久しぶりです,吉野です.
519-20日,新潟医療人育成センターで開催されたITLS Pediatric courseを受講してきました.(生塩先生も受講生として参加、インストラクターで町田先生も参加。)

これはITLSInternational Trauma Life Support)における小児外傷に焦点を絞ったコースで,病院前の小児外傷に対する診療手順を学んでいく事を主旨にしたものであります.
先日のコースは24人の受講者のうち1/4が医師,1/4が看護師,そして半分を救命士が占めるといった構成であり,うち医師は僕らのような若手救急医や,普段外傷にあまり接しない若手の小児科医などが参加していました.


受講した印象としては「やはり子どもは難しい」でした(それ故,自分は小児診療を避け続けていたのですが).
乳幼児であれば発語も満足にできず,啼泣でコミュニケーションも十分に取れない.vital signsも大人と異なり,解剖学的・生理学的な未発達さで容易に急変しうる.横でパニックになっている/逆にやけによそよそしい態度の親の対応もしなければならない……などなど.親への対応としては傍に居てもらうだけでなく『4人目の隊員』として有効に活用する事,また虐待を疑う場合には実際に現場を見る事ができるのが救急隊員だけであり,その対応についても考慮する点を強調しており小児の現場対応をした事がない自身にとっては目からウロコな内容でした.


診療はJPTECITLSとベースは同じでしたが,そこに上記のような小児特有の観察項目や対応が加わった感じでした.

何よりもまず気道・呼吸の評価を細かくしている!
小児は相対的な巨舌や分泌物の多さから容易に気道閉塞をきたす可能性があり,また少ない換気量を頻呼吸で代償したり胸郭の未熟さから呼吸予備能が低く容易に呼吸不全に進行してしまいます.そのため成人であれば呼吸回数や胸郭の上りを見る程度の評価であるところを,騒がしい呼吸(閉塞音,呻吟,喘鳴など)や努力呼吸(尾翼呼吸,陥没呼吸など),チアノーゼを含めた皮膚色など成人への対応よりも詳細に気道・呼吸を評価していました.

また他にもバックボード固定(成人に比して相対的に頭部が大きく正中位で固定するには肩にパッドが必要,或いは各年齢に見合った特殊な固定器具を使う,など)や,車内でのチャイルドシートからの離脱適応や方法など,JPTECでは多くは触れられなかったセクションもしっかりとスキルステーションとして実体験でき,知識や技術のいい補完となりました.


小児外傷は日常臨床として出会う頻度は成人よりも多くはないものの,その特殊性から苦手意識を持つ人が多いと思われます.そのような意識を少しでも克服し,未来ある子どもたちのPTDを防ぐためにも,受講をしてみる価値はあるかと思います.

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