三重大学医学部附属病院で講演をしました。~MUECC(Mie University Emergency & Critical Care)~

小倉です。
この秋はスイス→大阪(日本救急医医学会)→アメリカ(AHA)→三重→イギリス→沖縄と飛び回っておりました。前回はスイスとイギリスでの活動を報告しましたが、今回は日本での話題です。
 
 
さて、本日は三重大学での講演についてご報告させていただきます。
今回、私はMie University Emergency & Critical Care (MUECC)という若手医師のための講演会にお呼ばれし、講演をしてきました。私を御指名くださいました岩下先生、今井教授にこの場をお借りしまして御礼申し上げます。
 
今回は救急ICUということで、外傷診療からECMO管理まで幅広く救急科医が活躍する当院の診療システムの紹介と、それを論文に落とし込んで発表し、科学的な視点から自施設のデータを批評してゆく我々の手法について発表させていただきました。
 
 
群馬県は、もともとそれほど恵まれた医療環境にありません。
 
外傷診療について言えば、外傷をプロフェッショナルとする外傷外科医は一人もおりません。アメリカの外傷センターで行われているような外傷診療は全くできないのです。
しかし、脳神経外科や外科、整形外科、放射線科、リハビリ科の先生方に加え、看護師や理学療法士と、栄養士などの多職種の方々の協力をいただき、我々はアメリカの成績と遜色ない結果を残せております。これは群馬県ならではのシステムです。
そしてそれを論文で発表してゆくことで、「山の頂上への登り方は一つでない」ということをしっかりと世の中に提言するのです。
 
ECMOに関しても同様で、私はイギリスでECMOの勉強をしてきましたが、日本の医療環境は、イギリスの医療環境と違いすぎておりまして、イギリスのシステムがそのまま日本に移植できるわけではありません。イギリスは、ECMOは全て国費でその医療費が賄われますが、日本ではそうはいきません。ですから我々は知恵を出し合って、日本流のECMO診療システムを構築せねばならないのです。
当院では医師、看護師、臨床工学士の多職種チームでECMOプロジェクトチームを編成し、常に呼吸器内科の先生方ともディスカッションをしながらECMO診療を展開しています。もちろん、離床チームや栄養管理チームともコミュニケーションをとって、多職種で診療プランを組み立てます。そのようなひとりひとりの努力と、それをまとめあげる和のチカラが、今のEC MO離脱率89% という治療成績の源になっています。
 
 
常日頃頑張っていらっしゃる大学の御高名な先生方の前で、不躾にも上記のような講演をするのはとても恥ずかしいことではありましたが、一生懸命に講演させていただきました。小倉の講演が、少しでも三重大学のみなさまの今後の足しになればと思っております。
 
ECMOに関しては、まだ紙面発表にたどり着いておりませんので、来年は、論文化をひとつの目標にし、当院の取り組みを世の人々に公開してゆければと思います。

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