『第20回エンドトキシン血症救命治療研究会』に参加しました。

日の入りが少しづつ遅くなり、ドクターヘリの活動時間も少しづつ伸びてきた2月となりました。前橋赤十字病院 集中治療科救急科の劉です。
今回は第20回エンドトキシン血症救命治療研究会に出席してきたのでご報告です。


 

エンドトキシン研究会は、毎年年始に開催しているエンドトキシンをどう制御するかに焦点をあてた学会です。演題の多くはPMX-DHPに関するものであり、その適応症例の検討から、施行条件、新しい知見などの発表を数多く拝見することができました。
 
PMX-DHPはご存知の通りエンドトキシンの吸着を目的とした吸着膜でした。しかし、現在はその適応は少し拡大しており、グラム陽性球菌菌血症を含めた重症の敗血症性ショックが良い適応と考えられております。エンドトキシンだけではなくサイトカイン吸着作用がその理屈らしいです。
そしてこの重症なことがみそのようで、あまり軽症だと予後の改善に有意差はでないようです。
ではどのような症例が重症かはまだ明確に定義されておりません。JSEPTIC DIC studySepsis Registryからの報告がかなり大きなStudyではありますが、その論文化が待ち遠しいです。記憶が定かではないですが…確かカテコラミンインデックスが10を超えるような重症敗血症性ショック症例に使用していたと思います。
また現在では敗血症に対してではなく今は肺線維症の急性増悪期、敗血症性ARDS、敗血症性AKIなどにもその有用性が報告されつつあります。
まだまだ強いエビデンスと言えるものは少ないようですが、今後の研究結果を期待したいと思います。

 
エンドトキシン血症、サイトカインストームは我々集中治療科医と切っても切り離せない関係にあります。どこをどうしたらより患者をよく治すことができるのだろう。一生そんなことを考えていくのでしょう。

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