2016年1月2日土曜日

イギリス便り③ 『King's College St Thomas' Hospital』

みなさま。お久しぶりです、小倉@ロンドンです。
あけましておめでとうございます。
今年も皆様にとって幸多き一年となることを心より願っております。

小倉はこの秋からロンドンにあるKing’s College St Thomas’ Hospital(ビックベンの隣にあります)という病院でECMO(経皮的人工心肺)の勉強をしています。
こちらのECMOセンターは間違いなくイギリス最大のECMOセンターで、年間のECMOコンサルトは200件を超え、ECMO導入件数は80件から90件という規模です。小倉の研修期間中でも、15人の患者様がECMOによる治療を受け、13人の方が退院してゆきました。この間の救命率は、86.7%。おそるべき数字です。
2014年の統計でも、重症呼吸不全に対するRespiratory ECMOだけで70件、そのうちMobile ECMOECMO導入して患者をSt Thomas’ Hospitalに搬送)が65件、救命率は70%だそうです。ECMOの世界的な組織であるExtra-Corporeal Life Support Organization (ELSO) の統計では、重症呼吸不全患者に対するECMO導入患者の救命率は60%程度ということなので、St Thomas’ Hospitalの実力は世界の平均を大きく上回っていると言えます。
St Thomas’ HospitalにおけるECMOの導入件数およびその救命率は、今もなお右肩上がりであり、褒め言葉として「今、最も調子にのっている施設」と言えるでしょう!

St Thomas’ Hospitalは、5床のECMOベッドを常時稼働させており、ECMOコンサルタント8名、ECMOスペシャリストナース11名で管理しています。大規模な施設なだけに、スタッフの数も大規模です。これは、イギリスの国策としてECMOセンターが整備されたことで、患者とスタッフの集約化を達成したことによります。その集約化を達成したECMOセンターで患者を治療し、スタッフを教育し、治療成績の向上を図る…。イギリスのここが凄い!と思います。
日本では「日本全国どこの病院でも、均等に一律の医療を受けられる」ことをコンセプトに政策が敷かれているため、このような大規模なセンター化計画は、実現しません。ちょっと羨ましいですよね!小倉も帰国したら、国に提言してゆかなければなりません!(がんばります。)

St Thomas’s Hospitalでは、主にMobile ECMOを勉強しています。呼吸がアップアップで今にも死んでしまいそうな患者さんのところへ出向き、ECMOを現地で導入し、安全にSt Thomas’に連れて帰ってくる。これがMobile ECMOのミッションです。
St Thomas’ Hospitalでは、「Cardiohelp®という日本では未認可(正確にはマシーンは認可もECMO回路が未認可)のECMOマシーンを積極的に導入し、Mobile ECMOに尽力しています。
このCardiohelp®は、重さ約10kgのポータブルECMOマシーンで、非常にコンパクトな作りになっています。先日はガンジー島から飛行機を使ったMobile ECMOがありました
 イギリスも日本と同じ島国であり、離島からの搬送には、飛び道具が大活躍です。しかし、ドクターヘリもそうですが、飛び道具を患者搬送に使うには厳しい重量制限等があり、従来のECMOマシーンでのAir ECMO Transportは一苦労でした。そこに革命を起こしたのが「Cardiohelp®」。このコンパクトなポータブルECMOの登場により、離島で発生した重症患者さんも、Air ECMO Transportにより、都市部のECMOセンターで治療が受けられるようになりました。
前橋赤十字病院も、Air Ambulanceであるドクターヘリの基地病院です。いずれはポータブルECMOマシーンを導入し、遠距離に住んでいらっしゃる患者さまでも、質の高いECMO治療を受けられるようなシステム作りをしてゆこうと思っています。(こちらもがんばります。)

St Thomas’ Hospitalは、Mobile ECMOを含めて、非常に質の高いECMOを実現しています。患者さんの求める「快適な医療」に、これでもかというくらいに応えてゆきます。人工吸気が装着されていようが、透析の機械が装着されていようが、ECMOが装着されていようが、「患者さんは生きている」…そう教えられ、小倉は今、改めて自分の医療を見つめ直しています。先日はECMO患者さんと一緒に外へ散歩に行き、快晴のビッグベンを眺めました
St Thomas’ Hospitalはナイチンゲールを生んだ病院です。初めて病院の中に映画館を設置した病院です。その歴史を基礎としながら、最新の医療を追求し提供するSt Thomas’s Hospital。このロンドンで得た知識を日本に持ち帰り、前橋そして日本の医療をちょっとでも良くできればと思います。(いやぁ、頑張ることが多くて幸せです。)

今年もよろしくお願い申し上げます。

0 件のコメント :

コメントを投稿

コメントは管理人が確認の上、公開の判断をさせていただいてます。状況によっては公開まで数日頂くことがありますのでご了承お願いします。

LinkWithin

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...