失った時間は戻ってきません・・・(群馬県ドクターヘリ3月活動実績速報付)

4月に入り群馬県の平野部の桜は満開になっていますが、今週末の風と雨でだいぶ花弁が落ちてきています。今年は入学式まで持たずにあっけなく桜の季節の季節がおわってしまいそうですが、ものごとを決める時には桜のような潔さも時として必要なのかもしれませんね!命の花を散らせないためにも・・・
 
そんなどんより空のもとですが、雲や雨の合間を見てドクターヘリも何とか出動しています。もちろん今年度も防災ヘリ、県警ヘリとも積極的に連携していき、1つでも多くの要請にお応えできるように、消防本部にも基地病院にも運航会社にも「実行するための決断力、判断力」をより速くできるように働きかけていこうと思います。扱うものが『人の命』であることを決して忘れずに、「真っ先にできない理由を考える」風潮には、今年度はさらに厳しく対応していくつもりです。(それはもちろん自分たちにもです!)
 

 
 
☆群馬県ドクターヘリ3月活動実績速報☆
 
最初にあえて苦言を!
重症度や緊急度の高い患者さんには、時間という概念がとても大切です。
大量出血の場合、なにも治療が加わらなければ30分で50%の方が亡くなるといわれています。また心疾患や脳卒中も早期に重度の合併症のリスクが高く、決定的治療にいかに早くたどり着けるかが、患者さんの救命率、社会復帰率に関わってきます。
そのような医学的背景と群馬県の地理的好条件(離陸から20分以内で全県カバー)から、群馬県では『消防覚知からドクターヘリ医療スタッフ接触まで30分以内』『消防覚知から病院到着まで60分以内』を掲げていますが、この3月は34.5%、38.2%とここ数年で最も最低な数値を記録してしまいました。さらに救急隊現着前のドクターヘリ要請率も62.5%と目標の80%までにはまだまだ届かず・・・要請のスイッチを押すカギを握っている消防本部のいまの考えがちょっとわからない状態です。
予想死亡率の高い重症外傷患者の生存率について、覚知から30分以内の早期接触のほうが明らかに良いことは学会や症例検討会で示しているのですが、このような雰囲気になってしまっている以上はまだまだ基地病院のアピールも少ないと考えなくてはいけませんね。まだまだ基地病院の活動不足ととらえて、もっと消防本部や運航会社に話をしていこうと思います。
 

2015年3月の活動状況
(*3/30の統計に誤りがあり、現場出動56→55件、転院搬送6→7件です。)

〇要請:111件(3.58件/日)・・・先月 +13件、昨年同月 +36件
〇出動:76件(2.45件/日)・・・先月 +9件、昨年同月 +20件
 ・現場出動 55件
 ・施設間搬送 7件
 ・出動後キャンセル 14件(キャンセル率:18.4%)
 ・その他 0件
〇未出動:35件
 ・重複要請 18件 ⇒ ☆代替出動:7件
 ・救急隊現着後キャンセル 4件
 ・天候不良 11件 ⇒ ☆代替出動:2件
 ・待機時間外 1件
 ・その他 1件 ⇒ ☆代替出動:1件
 
☆未出動に対する代替出動:10件
 ・栃木県ドクターヘリ 3件
 ・埼玉県ドクターヘリ 1件
 ・信州ドクターヘリ佐久 1件
 ・前橋ドクターカー 5件
月別要請数(上段)・出動数(下段)


<要請消防本部>要請/出動:111/76件
 ・渋川広域消防 20/13件
 ・利根沼田広域消防 17/14件
 ・吾妻広域消防 17/12件
 ・前橋市消防 13/6件
 ・高崎市等広域消防 12/11件
 ・多野藤岡広域消防 7/6件
 ・富岡甘楽広域消防 6/4件
 ・伊勢崎市消防 6/4件
 ・桐生市消防 5/2件
 ・太田市消防 4/3件
 ・館林地区消防 4/1件
  *北関東広域連携(栃木県)  0/0件
  *群馬県・埼玉県広域連携 0/0件
2014年度 消防本部別要請・出動数


<搬送先病院>傷病者:62名(多数傷病者事案:なし)
 ・23名:前橋赤十字病院・・・U-turn率:37.1%
 ・14名:群馬大学医学部附属病院
 ・10名:高崎総合医療センター
 ・ 4名 :太田記念病院
 ・ 2名 :公立藤岡総合病院、群馬県立心臓血管センター、沼田脳神経外科循環器科病院
 ・ 1名 :済生会前橋病院、日高病院、群馬県立小児医療センター、北関東循環器病院、老年病研究所附属病院
 *他県搬送:なし
 
 
 <疾患分類>
 ・外傷:40名
 ・内因性疾患:22名
2015年3月 疾患分類



 
<新規のランデブーポイント>
ランデブーポイント登録数:750ヶ所・・・先月 ±0ヶ所
ランデブーポイント使用数:501ヶ所・・・先月 +1ヶ所
2015年3月 ランデブーポイント数

コメント

  1. お疲れ様です。
    本当に失った時間は戻って来ませんし、失った命も戻って来ません。
    だからこそ時間を意識した救命が必要不可欠だと私も思います。
    専門家でない私が言う事では無いとは存じます、若輩者の発言をお許し下さい。
    自身も3月~4月の間で二件の救急車搬送のお手伝いをさせて頂きましたが、改めて時間の大切さを感じました。
    二件共に重症に至らず後遺症も無く無事に退院したりした事を聞き、早期医療介入(応急処置)する大切さを知った事例でした

    返信削除
    返信
    1. 岡田さん、いつもありがとうございます。
      あと1分、あと1秒で・・・という悔しい思いをしているからこそ、本当に迅速な対応の大切さを痛感している毎日です。
      いつも救急医療へのご理解を頂きありがとうございます。これからも応援よろしくお願いします。

      削除

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