“山梨県の観測史上最高の豪雪に対する救急活動”~山梨県立中央病院 岩瀬史明先生ご講演~

今シーズンの冬は特に寒さが厳しく、時々群馬県の平野部にも雪の予報が出ていますが、今までのところ雪が積もって困っている状況には陥っていません。しかし1年前の2月に大雪が2回あり、特に2回目の時は一時的に救急体制の崩壊をきたした雪による災害が起こりました。その時の苦い経験を忘れずこの冬もきちんと乗り切れるための様々な準備が必要です。

昨晩は当院にて第69回地域医療学術講演会を開催され、そこで昨年の群馬県と同様に大雪による雪害を経験した山梨県の対応から多くのことを学ぶために、山梨県立中央病院救命救急センター長である岩瀬史明先生をお招きしてご講演をいただきました。
山梨県立中央病院救命救急センター長 岩瀬史明先生

まずは1年前の当院の対応をお話しさせていただきました。大雪で来院数が少なかったことで「院内にいるスタッフで何とかなる」と判断してしまい、災害対応のスイッチを入れなかったことで患者対応以外の様々な面で大きな対応の遅れを生じさせてしまった雪害対応の失敗について、あらためてお話しさせていただきました。
2月15日日当直医長&救急外来リーダーから反省の弁・・・
大雪の日に実際に活動していた救急隊からもお話を頂きました。
 
続けて当院とは対照的に、しっかり災害モードを立ち上げて雪害に伴う様々な問題をクリアしていった山梨県の対応について、『山梨県の観測史上最高の豪雪に対する救急活動』というタイトルで貴重なお話をいただきました。
とても興味深い内容で、1年前のことが鮮明に思い出されました。
昨年の苦い経験から近隣の先生方とともに多くの病院スタッフが会場に集まりました。
 

山梨県立中央病院では救命センターの医師を中心に災害対策本部をたてて院内の対応に当たったともに、岩瀬先生みずから山梨県庁に駆け込んで県の暫定災害本部に入りました。県庁に入ることで、大雪による様々な問題を解決するために行政、消防、そして自衛隊との連携・調整を行ったとのことです。
とくに患者さんが通院できるように甲府市内にある大きな病院周辺の除雪を自衛隊の方の協力で速やかに行ったとともに、空路搬送がすぐにできるように病院ヘリポート、ヘリ待機場所の基地、そして主要ランデブーポイントの除雪を優先に行い、群馬県がまったく身動きが取れなかった15日からすでにヘリによる患者搬送が行われていました。
また雪が降り始めたから14日からすでに一部病院スタッフ、ヘリクルーが病院やヘリ基地に泊まり込んで、出勤不能にならないようになど雪への備えがすぐにできるようにしていたとのことです。
群馬県庁の方も会場に来ていただいており、フロアからご意見を頂きました。
そり搬送となった妊婦さんを「まだか、まだか・・」と待っていた
産婦人科の先生からもご質問を頂きました。

やはり興味深い内容でありたくさん質問させていただきましたが、岩瀬先生にはその質問ひとつひとつに丁寧にお答えいただき本当にありがとうございました。
岩瀬先生のお話からは本当に学ぶことだらけでした。今回の講演で学んだことをすぐに群馬県でも生かせていけるように各機関協力して取り組んでいきます。

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