本格デビューからいきなり・・・~みんなでカバーです!~

町田です。

菊谷先生がフライトドクターとしてデビューしましたが、独り立ち初出動はキャンセル事案(『通信指令課の覚知同時要請、救急隊現着後の軽症キャンセル』)でした。群馬県ドクターヘリはアンダートリアージをなくすためにオーバートリアージによる早期要請を推奨しており、初出動はまさにドクターヘリの早期医療介入のための消防の動きを感じることができた事案だったと思います。


先日はキャンセル事案以降の初めてのヘリ当番・・・朝から若干緊張の面持ちの菊谷先生でしたが、さらに屋上ヘリポートが強風でヘリ駐機できず群馬ヘリポート待機となってしまいました。
おそらくこの日に初めて独り立ちで患者さんと接するであろう菊谷先生のために、病院では朝にカンファレンスで「困ってたらすぐに受け入れ、ベッドもあけて待っていよう!さらに現場が大変だったらセカンドドクター投入だよ!」と、本人のいないところで勝手に決起集会を行いそれぞれの勤務場所(ER、ICU、救命病棟)に散っていきました。

そのような中でホットラインが鳴り響きドクターヘリは群馬ヘリポートから出動!その時、CS室に入ってきた情報は『多数傷病者!現場救助中!』という内容でした。
「いざサポート!」と思って動き出す前に、菊谷先生から「ヘリピストンでセカンドドクター派遣」の指示が飛んできました。その日はたまたま一番の年上が僕であったためCSから僕も情報をもらった時に目の前にICU回診中の雨宮先生、原澤先生が飛び込んできました。
「セカンド・・・」といった瞬間にすぐに9階に移動してフライトスーツに着替えて、戻ってきたヘリに飛び乗って現場に向けて飛んでいきました。

その時の菊谷先生は、ランデブーポイントから現場に移動して救急隊のトリアージをもとに処置、搬送についてすでにコントロールをしており、病院にいたスタッフの心配をよそにしっかりと現場での活動を行っていました。
最終的にランデブーポイントにセカンドドクターの2名が到着した時には、初療、搬送先、搬送手段も調整がほとんどついていて、無事にすべての傷病者を病院まで搬送することができました。


当院ではフライトドクターとして独り立ちするのには、当科に勤務して少なくても2年はかかります。
それはまずは集中治療科・救急科医としての知識・手技の習得が求められるとともに、「他機関と連携できるチーム医療の実践」、「地域の医療体制の習熟」、そして「災害対応時のマネージメント力」が欠かせないからです。
本時案でも、多数傷病者に対する初期対応に必要な災害時のネージメント、重症患者に対する初期対応、そして搬送先を決定するための地域の医療体制の習熟が生かされていました。

僕はドクターヘリの活動に対してはかなり厳しい目で1例1例を評価しています。
今回のように本格デビュー戦で現場でのマネージメントができていたことは、現在行っている当科のフライトドクターの育成プログラムがそんなに間違っていないことの証明であり、かつ、病院スタッフが以前よりその日の勤務の枠を超えた柔軟な対応をできるようになってきたと強く感じました。
今回の活動はドクターヘリの活動において基地病院が少しだけ成長しているのを感じる事案でした。とはいえ油断すると気が緩むので、これからも厳しい目で活動を振り返っていこうと思います。
また関係各機関の皆様にも、何かありましたらこれからもご指導のほどよろしくお願いします。

群馬県ドクターヘリメディカルスタッフ一覧に菊谷先生が加わりました。
11人目(通算17人目)のフライトドクターの誕生です!


ちなみに11月25日に開催される平成26年度第3回群馬県ドクターヘリ症例検討会では、多数傷病者事案の対応を中心に関係各機関とディスカッションしようと考えています。


 

コメント

  1. まさに、この現場(ランデブーポイント)にいました。
    まさしく、一分一秒を大切にしている菊谷先生の活動と、またそれを支える前橋日赤の皆さんの
    支援活動の賜物だったことは言うまでもありません!
    そして、ヘリ運航を支える朝日航洋の皆さん、消防、警察の活動などなど、携わった全ての方たちの
    おかげだと思います!
    今後も、皆さまの崇高な理念の元、ご尽力される姿を陰ながら応援していきたいと思います!

    返信削除
    返信
    1. ドクターヘリ活動を支えてくれる各機関の皆さんと渋川指揮支援119さんのように応援してくださる皆様のおかげです。
      365日いつでもこのような体制をとれるようなしっかりとした基地病院を目指します。

      削除

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