ドクターヘリ基地病院の対応力を上げる!~出動編~

町田です。

今月は台風の直撃が2回もあり、それに伴う大雨や強風の影響で2週間連続でドクターヘリヘリが運休となりました。


ヘリの要請に対して自然の力には勝てない未出動はどうしようもありませんが、それ以外の要請に対して1件でも多く早期医療介入するために対応するためには、やはり基地病院の実力が大きく試されるところです。

ちなみにドクターヘリの未出動(要請に対して離陸しなかったこと)には大きく分けて次の分類がされます。
<未出動の分類>
①天候不良②時間外要請③離陸前キャンセル(オーバートリアージ)④重複要請⑤その他

①②はヘリではどうしようもないことですが、ドクターカーなどでの代替手段での出動は可能です。
③は通信指令課の早期要請の判断の結果であり、全く問題はありません。

④の重複要請にどれだけ対応できるかは、基地病院の真の実力がでるところです。
現時点で当院における重複要請の対応には以下のような手段があげられます。
<重複要請への対応>
〇ドクターヘリ連続出動で対応
〇防災ヘリ・ドクターカーなどで出動
〇他病院のドクターカー・隣県ドクターヘリに応援要請
〇直近病院や基地病院での受け入れ

他機関や他手段で対応する場合は、重複要請が入ったときに初めて調整しているようではタイムロスが生じてしまいます。その日その時のドクターヘリや他機関の状況を常に把握している基地病院のバックアップ体制が必要です。ホットラインが鳴った瞬間に、ドクターヘリに連続出動で対応した方がよいか、他機関の応援を頼んだ方が良いかを即決し、同時に関係各機関に連絡調整を行う動きが基地病院のER医師やCSには求められます。
そしてフライトドクター自身も現場処置や飛行にかかる時間を予想し、傷病者に対応しながら連続で行くか、ヘリだけ戻すか、ヘリを戻してはいけない状況なのかを判断しなければいけません。もちろん目の前にいる患者さんへの初期診療が絶対におろそかにしてはいけません。そのためにはフライトドクターも平時から決定的治療開始時間短縮のために、より現場活動の迅速化に向けた個々の努力も必要です。


先日フライトドクター&ナース1人ずつの体制(平時の基本形)で、初めて1日10件の出動がありました。本ブログで何度も書いていますが、決して件数が多いからよいと思っているわけでもなく、もちろん要請時の条件やキャンセルの件数によって出動できる数は大きく変わります。

しかしながら、条件によるとはいえ『1日10件出動』という実績は、基地病院の対応力の一つの指標として大きな自信になります。
「1件でも多くの出動にこたえて1人でも多くの傷病者に1秒でも早い治療の手を差し伸べる」ことをスタッフは常に心に持ちながら、基地病院の出動に関する対応力をもっともっと上げていく努力を続けていかなくてはいけません。


次回は『基地病院の対応力を上げる!~受入編~』の予定です。

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