出動する手段をたくさん用意せよ!~1日で3パターンの出動あり~

町田です。

今日は朝から青空が広がっており、ドクターヘリも朝一番から出動していきました。
10月初旬の台風が過ぎてからは秋晴れの穏やかな日が続いていましたが、ここ数日は天候不順が続き急に寒くなってきました。皆さん、体調をくずさないようにお気を付け下さい。


昨日までの3日間は群馬県は天気が悪く、ドクターヘリも天候を見ながら運航できたりできなかったりの対応が続きました。また日がどんどん短くなりすでに日没時間は17時を切っており、ドクターヘリの運航対応時間も日に日に短くなっています。


しかしながら交通事故の発生は減らず、寒くなるにつれて心疾患や脳卒中の患者さんも増えてくる傾向があります。早期医療介入が必要な患者さんが残念ながら減ることはありません。
天候(特に強風)や日没によりドクターヘリ出動に制限がかかってくることが多いこれからの時期に“いかに病院前に医療チームを送り出すか”、このことを基地病院は考えなくてはいけません。

昨日までの3日間ではドクターヘリで出動できる機会は3件でしたが、天候不良や日没制限に対してドクターカーでの出動が5件、防災ヘリドクターヘリ的出動が1件ありました。悪条件の中でも様々な手段を準備しておくことで9件の事案に対応することができました。特に昨日は朝の雨天時はドクターカー、雨が上がってからドクターヘリ、日没ギリギリのところは防災ヘリ、そして日没後は再びドクターカーと、同じ医療スタッフながら3パターンの出動形態がありました。
日没時間の関係で防災ヘリへバトンタッチです。
日没時間を考慮して群馬ヘリポート帰還を条件に防災へりで出動しました。
日没後やヘリ運休時はドクターカー(ピックアップ方式)で出動です。

早期医療介入という目的を達するためであれば、安全を確保することと法律違反をしないことを守れば「出動する手段は何でもよい」のです。極端なことを言えば近いところなら自転車(ドクターチャリ!?)でも走って(ドクターラン!?)でもいいのです!雪国ならスノーモビルや犬ぞりもいけますね。
基地病院はその時の状況に応じて、つねに複数の出動手段を考えておくことが大切です。それは重複要請時や多数傷病者事案の対応へも大いに役立ちます。そして基地病院のみならず、県内各病院・消防、近隣県との連携を強化しておくことが大切です。群馬が悪天候でドクターヘリが運休でも、前橋のドクターカーだけではなく、高崎地区には高崎ドクターカーが、東毛地区には隣県の足利ドクターカーが、消防本部の要請があれば出動できるようになっています。

各病院・消防・行政が選択肢をたくさん作っておくこと、そして基地病院はそれが現時点ですぐに使えるかどうかを常にチェックしておくことが、消防からの現場医療チーム派遣の要請に1件でも多くお応えできるために大切です!





ちなみに今月発刊された『救急医学』(へるす出版)の特集は「ドクターヘリ/ドクターカー」です。とても興味深い内容になっています。
僕もこれからの時期に大きな壁として立ちはだかる“日没間際の出動”に関して書かせていただきました。
また防災ヘリとドクターヘリの連携について、10月29日に開催されるHEM-Netシンポジウムに参加予定です。

コメント

  1. 町田先生29日 参加されるのですね!。
    私も参加予定です。
    ドクターヘリについて沢山知りたいので。
    救急医療について色々と。

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    返信
    1. 岡田さん、コメントいただきありがとうございます。群馬県はかなり積極的に防災ヘリとドクターヘリのコラボレーションを行っていますが、今回のシンポジウムでもいろいろ勉強させていただく予定です。今回は日本救急医学会総会・学術集会と日程が重なってしまい、ドクターヘリ関係者の参加が少なくなりそうですが、その分責任もって出席する心構えです。

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