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ITLS Access Courseを受講しました!

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青山です。 先日 10 月 19 日、 ITLS アクセスコースを受講してきました。 International Trauma Life Support の名前の通り、アメリカの救急隊の活動をベースに世界基準として標準化された外傷対応のコースで、このアクセスコースはそのなかでも特に自動車事故で車内に閉じ込められた人員の救出に特化したものです。 私の前回のブログ、ラリーのコースドクターの際にもお伝えしたように、かつて自分は自動車メーカーで技術者をしていたので、車両の構造や、素材、機構にどのような危険があるのかは他の医療従事者よりは多少理解が進んでいると思います。 車両に閉じ込められている状況に対して、車両のどこをどのように破壊、切断し、展開したら迅速に救出が可能かということは自動車レースに関わるコースドクターにとっては最低限必要な知識です。一般車と異なり、それらの競技車両は車内にアクセスするのがその安全装備ゆえに困難だからです。 今回の講習は一般車両の事故に対して、救急隊や工作車のスタッフが、いかに車両閉じ込めに対して対応しているのか、その情報、知識を学び、共有するという意味でも非常に興味深い講習でした。 午前中は座学中心で、車両に対する基礎知識、エアバッグや、各種安全装置の構造や、車体構造についての講義がメインでした。最近のハイブリッド車に潜む高電圧部位への注意点や、燃料の違いによる注意点など、車両事故にまつわる危険を網羅する内容です。 午後は実際に屋外にて車両を分解、破壊して、車内にアクセスする実習です。 窓ガラスの破り方や、ドアの破壊の方法など、実践的な講義、実習が続きます。ボンネットにフーリガンという大きなツルハシのような先の尖った機材で穴をあけて、消火器にて消火訓練をおこなったりするのも非常にいい勉強になりました。かつて車両火災の現場に何度も遭遇し、その際の対応がどうだったかを見直す良い機会となりました。 車内にどうにもアクセスできない際にはレシプロソーという、金属を切断する電動ノコギリを使用し、車の各部品を切断していきます。車両の各ピラーを切断して、屋根を取り外しての救助を行う際には、車内に閉じ込められた人を体験し、その振動や、大きな音、ガラスの粉が降ってくるリアルさを体験しました。 救出は時

HEM-Netシンポジウムに参加しました。

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町田です。 昨日は都内で開催された『HEM-Netシンポジウム』に参加しました。 ちなみに“HEM-Net”とは“認定NPO法人「救急ヘリ病院ネットワーク」(Emergency Medical Network of Helicopter and Hospital)”の略称で、非営利法人としてヘリコプターによる救急医療システムの普及促進を目的として活動しいます。 ☆HEM-Netホームページ ⇒ http://www.hemnet.jp/ 今年度のシンポジウムのテーマは「ドクターヘリと消防防災ヘリの協力体制の強化」ということで、ドクターヘリ運航開始当時から良好な関係である熊本県防災航空隊、関西2府4県で形成されている関西広域連合、通信環境の発展に関してJAXA,Weathernews、そして総務省,厚労省のパネリストの方々からの発表を聞かせていただき、同テーマに沿ってディスカッションを行いました。  防災ヘリの管轄は総務省でドクターヘリの管轄は厚労省という縦割りの関係ですが、実際の現場で協働しているときは同じベクトルを向いて活動できていて、それを都道府県や国レベルでも同じような気持ちでいることが重要に感じます。 群馬県は消防防災ヘリとドクターヘリが迅速かつ強固な連携をしていることが自慢です。“消防機関のヘリだからこそ消防本部が要請しやすい環境を整えていく”ために、「ドクターヘリ側に入った情報を素早く防災航空隊と共有する」、「防災ヘリでもドクターヘリと同じような動きをしていただく(医師派遣、キャンセルなど)」、「多数傷病者事案、重複要請時に次の手段をどうするか医療クルーは常に考えておく」という群馬県が行っていることをフロアから紹介させていただきました。 今回は群馬県防災航空隊の隊長もいらっしゃっており、災害時だけではなく平時からこのような連携を続けていくことが大切であることをあらためて確認しました。 2014年度上半期で、ドクターヘリ的運用や協働が30件を超しています。 また基調講演では「新潟県におけるドクターヘリの運用について」というタイトルで、新潟県の泉田知事より貴重なお話を聞かせていただきました。新潟県ドクターヘリ運航開始前に講演をさせていただいたこともあり、日本海側の厳しい気候を抱えながらも活躍している様子を聞いてう

信州ドクターヘリ事後検証会議に参加しました。

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町田です。 昨日から福岡で開催されている『日本救急医学会学術集会』で当科スタッフからの発表があります。いろいろご質問を頂ければ幸いです。また今日は都内で『HEM-Netシンポジウム』が開催され、「ドクターヘリと消防防災ヘリとの協力体制の強化」をテーマにディスカッションが行われます。 僕は後者の方に参加しますが、“群馬県のドクターヘリと消防防災ヘリの協力体制はかなり良好”とはっきり言えることができます。シンポジウムが盛り上がるように群馬県の情報を発信して来ようと考えています。 学会やシンポジウムの様子は、後日詳細な報告を行う予定です。 10月27日に佐久総合病院佐久医療センターで開催された『第108回信州ドクターヘリ事後検証会議』に参加しました。同病院には群馬県ドクターヘリの運航開始前にドクターヘリ同乗研修でお世話になっており、その時お世話になった高寺師長をはじめ城田看護師、滝沢看護師、板倉社会課課長、山本朝日航洋CSの6名で出席しました。 佐久市内からみた浅間山! 山の裏側は群馬県で、前橋より佐久のほうが断然近いエリアです。 群馬県と長野県はドクターヘリの公式の応援協定は結んでいませんが、信州ドクターヘリ佐久の基地病院がある佐久市は群馬県西部と隣接しており、特に群馬県北西部の方々にとって佐久総合病院は大切な医療圏の中心病院となっています。群馬県ドクターヘリが県北西部に出動し、傷病者を佐久総合病院に搬送することもしばしばあります。そして群馬県ドクターヘリが運休時や重複要請時に、信州ドクターヘリ運航要領にのっとった範囲で人道的観点から佐久医療センターの判断でドクターヘリが群馬県北西部にきていただいていることも何度もあり、そのようなことからも両県は絶対に強い連携をしていかなくてはいけません。 今回の事後検証会議では、『群馬県ドクターヘリ運航見合わせのより信州ドクターヘリ佐久が先着対応した交通事故多数傷病者発生事案』について取り上げていただきました。   本時案は最初群馬県ドクターヘリで対応しようとするも運航見合わせとなったため途中で信州ドクターヘリ佐久にお願いし、最終的に群馬県防災ヘリドクターヘリ的運用で出動した流れで、直接ではありませんでしたが群馬県にとって初めての同一事案に2県のヘリスタッフが対応する事案になりました。 群馬県

『“教職員対象”AED&エピペン講習会』第3弾!

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町田です。 今日から福岡で第42回日本救急医学会総会・学術集会が開催されます。前日の評議員会を合わせて当科から中野センター長、中村医師、宮﨑医師、鈴木医師、藤塚医師、小倉医師、大瀧医師、星野医師、戸田医師、小橋医師、劉医師の総勢11人が参加します。全員が会議、座長、シンポジスト、そして発表などで登場しますので皆様どうぞよろしくお願いいたします。 もちろん当院は学会中もいつもと同じ業務をしっかり行うとともに、昨日は信州ドクターヘリ事後検証会議、明日はHEM-Netシンポジウムへの参加など、いつも以上に活発な活動を継続しています! 今日も昨日と同じ『救命講習会』の話題ですが、昨日の“生徒対象”につづいて今日は“教職員対象”です! 10月24日に群馬県立前橋東高等学校において『教職員対象AED&エピペン講習会』を開催しました。今年度から始めた本講習会も今回で3回目になります。 *第1弾(前橋市立前橋高等学校): http://drheli-gunma.blogspot.jp/2014/06/aed.html *第2弾(群馬県立前橋女子高等学校): http://drheli-gunma.blogspot.jp/2014/07/aed2.html 過去2回と同様におなじみ町田&藤塚コンビで学校訪問しましたが、今回もほとんどの教職員に参加していただけました。 1時間という限られた時間であったためちょっとした講義と見本を示しただけでしたが、さすが教職員の方々の呑み込みが早く、AEDは問題なく使用できるとともに胸骨圧迫の中断をできるだけ短くAEDを使用することまで追求していました。もちろん胸骨圧迫をしている姿をほかの先生が見ながらしっかりその質を評価しているあたりに、教職というプロの姿を見せていただきました! この学校には今までは保健室前にAEDが1つ設置してありましたが、今年度より校舎が閉まっているときや外で何かあったときにすぐ対応できるように校舎の外にもAEDがもう1つ設置されているとのことです。 実は日本のAEDは夜間や休日で建物が閉まっているときに使用することができないもの多いという現状があり、この学校が校舎内と外に設置してあることは素晴らしい取り組みですね! またアレルギー、とくにアナフィラキシーへの対応につい

命のリレーの第一走者!~第11回前橋市立前橋高等学校救命講習会(BLS&AEDコース)~

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前橋赤十字病院 集中治療科・救急科 原澤 です. 去る 10 月 17 日,『前橋市立前橋高等学校 BLS&AED コース』が開催されました. 医療関係者以外,それも高校生が対象のコースとあって,かなり特徴的なコースでした. 楽しくそして一生懸命に・・・ 新たに多くの命のリレーの第一走者が誕生しました!   そもそも BLS & AED とはなんぞや?という医療関係者はあまりいないと思いますが,一般の方向けにおさらいです. BLS ; Basic Life Support / 一次救命処置の意味です.一次救命処置とは,「急に倒れた人や,窒息を起こした人に対して,そ の 場に居合わせた人が,救急隊や医師に引継ぐまで の 間に行 う 応急手当」 の ことを言います ※ 1 .医療用語なのですが,実施する方は一般の方なので,本来は医療関係者“以外”の皆さんにこそ知っておいていただく必要があるのですね. AED ; Automated External Defibrillator /自動体外式除細動器の意味です.文字通りの意味ですが,「体の外側(=皮膚)に貼って使用する」「自動的に適応か否かを判断してくれる」「“除細動”を行う」器械です.まず“除細動”ってなんでしょう?というところですが,これも文字通り「細かく震えている(=“細動”している)心臓から」「震えを取り“除”く」ことを言います.細かく震えている心臓,というのは,ここでは心室細動のことです.心室細動,という状態になっている心臓は,正しく血液を送り出すことができなくなっているので,その震えを取り除くことで,正しい血液の流れを取り戻そう,という発想です.使い方を知っていれば,心電図の解析と,除細動が必要かどうかの判断は器械が自動的にやってくれるので,専門的知識を持たない一般の方でも使用することができる,というのが最大の特徴と言えます.       さて,話を元に戻します.本コースは,一般的に行われている BLS のコースとの相違点がいくつかあります. 第一に,一般的な BLS のコースは,丸1日かけて,正しい(=質の高い)蘇生処置の方法を教育することが主たる目的となっていますが,本コースは約 2 時間強

新たなフライトドクターの誕生です!~菊谷先生デビュー~

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10月も気が付くと下旬です。すっかり群馬の山々は燃え上がるような紅葉の美しい時期になりました! ドクターヘリも昨日で今年度500件の出動を達成しました。今年度は長期運休や台風の影響などで昨年度より11日遅れではありますが、その代わりに防災ヘリ、隣県ドクターヘリによる応援出動、そしてドクターカーなどによる代替えでの出動が増えていることはとても良い傾向だと思います。 群馬県ドクターヘリのフライトドクターは、基地病院の集中治療科・救急科医師に限定しています。それは医療チームを現場に派遣していただくのにそこでしっかりとレベルの高い診療ができる、あらゆる疾患でもきちんと初期対応ができる、そして多数傷病者や災害時でもきちんとコマンダーができる、などを条件としているからです。 そのためにフライトドクターになるためには、日々の診療できちんとリーダーシップを発揮しながら高いレベルの初期対応ができるためのプログラムを組んでいます。またERでもICUでも責任もって診療を行えるだけではなく、群馬県や近隣医療圏の医療事情に精通するための経験日数も条件として掲げています。さらに救急隊、防災航空隊など各機関との協働、災害対応のためDMATの知識も必須としています。 これらをクリアして初めてドクターヘリに同乗して研修を行っています。もちろん同乗研修のころには診療に関する知識、技術はほとんど問題ないようなプログラムのため、同乗研修では徹底してヘリならではの知識、無線のやり取り、メディカルコントロールを叩き込みます。 当院では30回の同乗実習が終了すると中野センター長による最終同乗試験があり、それをクリアするとフライトドクターとしてデビューすることができます。ドクターヘリが全国に広がってきたことはよいことですが、質の低下だけは絶対に避けなくてはいけません。 先日のことですが菊谷先生の最終試験がありました。 朝からいきなり救助現場への医療スタッフ派遣があったり、続いて現場直近のミッションがありましたが、現場でしっかり各機関との連携、初期診療、搬送先選定を行うことができ、センター長から合格を頂きました。 群馬県ドクターヘリ17番目のフライトドクターの誕生です。これで現在フライトドクターが11人体制となり、さらに重複要請や多数傷病者事案にセカンドスタッフとして派

出動する手段をたくさん用意せよ!~1日で3パターンの出動あり~

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町田です。 今日は朝から青空が広がっており、ドクターヘリも朝一番から出動していきました。 10月初旬の台風が過ぎてからは秋晴れの穏やかな日が続いていましたが、ここ数日は天候不順が続き急に寒くなってきました。皆さん、体調をくずさないようにお気を付け下さい。 昨日までの3日間は群馬県は天気が悪く、ドクターヘリも天候を見ながら運航できたりできなかったりの対応が続きました。また日がどんどん短くなりすでに日没時間は17時を切っており、ドクターヘリの運航対応時間も日に日に短くなっています。 しかしながら交通事故の発生は減らず、寒くなるにつれて心疾患や脳卒中の患者さんも増えてくる傾向があります。早期医療介入が必要な患者さんが残念ながら減ることはありません。 天候(特に強風)や日没によりドクターヘリ出動に制限がかかってくることが多いこれからの時期に“いかに病院前に医療チームを送り出すか”、このことを基地病院は考えなくてはいけません。 昨日までの3日間ではドクターヘリで出動できる機会は3件でしたが、天候不良や日没制限に対してドクターカーでの出動が5件、防災ヘリドクターヘリ的出動が1件ありました。悪条件の中でも様々な手段を準備しておくことで9件の事案に対応することができました。特に昨日は朝の雨天時はドクターカー、雨が上がってからドクターヘリ、日没ギリギリのところは防災ヘリ、そして日没後は再びドクターカーと、同じ医療スタッフながら3パターンの出動形態がありました。 日没時間の関係で防災ヘリへバトンタッチです。 日没時間を考慮して群馬ヘリポート帰還を条件に防災へりで出動しました。 日没後やヘリ運休時はドクターカー(ピックアップ方式)で出動です。 早期医療介入という目的を達するためであれば、安全を確保することと法律違反をしないことを守れば「出動する手段は何でもよい」のです。極端なことを言えば近いところなら自転車(ドクターチャリ!?)でも走って(ドクターラン!?)でもいいのです!雪国ならスノーモビルや犬ぞりもいけますね。 基地病院はその時の状況に応じて、つねに複数の出動手段を考えておくことが大切です。それは重複要請時や多数傷病者事案の対応へも大いに役立ちます。そして基地病院のみならず、県内各病院・消防、近隣県との連携を強化しておくことが大

中越地震から10年がたちました。

平成16年10月23日午後5時56分、新潟県中越地方を震源としたマグニチュード6.8の地震が起こり、旧川口町(長岡市)では震度7を記録し、68名の尊い命が奪われました。 10年を経た今でも忘れてはいけない大きな災害です。そして災害救護活動においては、避難所をコミュニティーごとにまとめ共助の大切さをいかしたこと、そして日赤救護班とともに急性災害医療派遣チーム初出動であったことなど、今につながる様々な活動がありました。 旧山古志村(長岡市)では伝統行事「牛の角突き」や養鯉業の復活とともに、震災遺構等を通して私たちに震災の教訓を伝えてくれています。 中越沖地震、東日本大震災などその後も大地震が日本を襲っていますが、私たちはそこからもっと多くのことを学んで未来につなげていかないといけないですね。

今年度のドクターヘリTシャツが完成しました!

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昨日から関東は雨模様です。ドクターヘリも昨日は一部エリアのみ運航可能、そして今日は朝から運休となっており、前橋市消防局管内のみですがドクターカー方式でカバーするような形でスタンバイしています。 当院ではほぼ毎年ドクターヘリスタッフTシャツを作成しています。先日今年度分が完成しました。 今年度はまさに群馬らしいデザインになっています!  群馬県警察ヘリ『あかぎ』(上)、群馬県防災ヘリ『はるな』(下)、 そしてドクターヘリ(中)が並んだデザインです! 群馬県ドクターヘリは基地病院に格納庫がないため夜間は基本的に群馬ヘリポートに駐機しています。ドクターヘリスタッフは毎朝群馬ヘリポートに足を運びますが、群馬ヘリポートは県警ヘリ、防災ヘリの基地であることから各機関のヘリスタッフ同士が毎日顔を合わせています。そして勉強会なども定期的に行っているので、いざルールがない状況でも臨機応変で連携対応できる強いきずなで形成されてきています。 このデザインはまさにそれを表しています! 今年度上半期は、ドクターヘリ運休中の応援出動を除いても、 すでに昨年度1年分と同じ数だけ連携活動を行っています。 左:防災ヘリ、中:ドクターヘリ、右:県警ヘリ ちなみにこのTシャツは、群馬県ドクターヘリ関係者のみの配布になっており、一般の方への販売などは行っておりません。申し訳ありません。尚、Tシャツ作成は関係者の自費による作成であり、ドクターヘリに関わる補助金などは一切使用しておりません。

ドクターヘリ基地病院の対応力を上げる!~受入編~

町田です。 ドクターヘリで病院前に医療チームが出ていく機会が増えていて、傷病者へより早く医療を開始できるようになってきました。しかし最終的にはより迅速に適切な病院に搬送して、最終的に決定的治療を行わなければいけません。 例えば大量出血の患者さんを現場で早期に輸液を行いショック状態からの改善を図りますが、最終的には出血しているところを止める治療をしなければいけません。そのためには出血を止めることができる病院に迅速に連れて行かなくてはいけません。 ドクターヘリで初期対応した患者さんの受け入れ病院に関しては、その地域の医療事情によって変わってきます。基地病院がほとんど全例受け入れるところ、出動した地域の救命センター・拠点病院にできるだけ搬送するところなど、いろいろなかたちがあります。 いずれにしても病院が早く受け入れを受諾しないと現場から動くことができません。そのためにはホットラインを受けた病院の医師は早く受け入れを決断しなくてはいけません。 現場で活動している救急隊や医療チームからの連絡を長々と聞いたうえで「受け入れられません」は最悪です。もちろんERがあふれるほどの重症患者が押し寄せているときなど状況によっては100%受け入れられないこともあります。だからこそ早く受けるか受けないかを決断する必要があります。 当院の救命救急センターの救急車受入れ率は97%を超えていますが、それでもこの数字が決して良いとは言えません。日本の救命救急センターの中では受け入れ不応需0%というところがいくつもあります。 ドクターヘリの受け入れはさすがに100%といいたいところですが・・・ある特殊疾患に関してはタイミングによっては受け入れが困難なことがあります。もっと我々ER医が他の専門科や周囲の病院との調整をうまく行わないといけません。 これから先、ドクターヘリやカーによる医療チームのみならず救急救命士の処置拡大が進んで救急隊も病院前でさまざまな処置を行うことができるようになります。そのメリットを最大限に生かすためには病院側がより迅速に患者さんを受け入れてあげる病院全体の強い思いが必要です。 ドクターヘリが始まって医療チームが病院前に出ることによって、病院に受け入れていただくことの大変さを知ったのが本音です。 今では群馬県内の3次対応可能病院すべてがホットライ

ブログ80万ヒット達成しました。これからも群馬パワーをお届けします。

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Web担当の伊藤です。 今朝の新聞を見て、どれだけの群馬県人が嬉しい気持ちになっただろうか、と思います。 今年6月に世界文化遺産に登録された旧富岡製糸場の3つの建物(繰糸所、東置繭所、西置繭所)が、昨日17日文化審議会により国宝指定に文部科学相へ答申されました。 これまで国宝のない県は、群馬県、徳島県、宮崎県の3県だったとのことで、群馬県初の国宝指定となるそうです。 また文化庁によると、建造物の国宝220件のうち明治以降の建造物は「迎賓館赤坂離宮」に次いで2例目だということです。 今後、後世に継承されて行く事が祈年され、およそ30年かかるという保存修理が本格化するようです。  当ブログも、皆様のお陰で先日80万ヒットを達成しました。 これからも旧富岡製糸場の栄誉に負けずに、よりホットな話題をお届けして行きたいと考えています。 どうぞよろしくお願い致します。 病院建設予定地も建設準備が着々と進んでいました。これから考古学における発掘調査が行われるそうです。 先月の写真。全く同じ角度から撮影しています。

ドクターヘリ基地病院の対応力を上げる!~出動編~

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町田です。 今月は台風の直撃が2回もあり、それに伴う大雨や強風の影響で2週間連続でドクターヘリヘリが運休となりました。 ヘリの要請に対して自然の力には勝てない未出動はどうしようもありませんが、それ以外の要請に対して1件でも多く早期医療介入するために対応するためには、やはり基地病院の実力が大きく試されるところです。 ちなみにドクターヘリの未出動(要請に対して離陸しなかったこと)には大きく分けて次の分類がされます。 <未出動の分類> ①天候不良②時間外要請③離陸前キャンセル(オーバートリアージ)④重複要請⑤その他 ①②はヘリではどうしようもないことですが、ドクターカーなどでの代替手段での出動は可能です。 ③は通信指令課の早期要請の判断の結果であり、全く問題はありません。 ④の重複要請にどれだけ対応できるかは、基地病院の真の実力がでるところです。 現時点で当院における重複要請の対応には以下のような手段があげられます。 <重複要請への対応> 〇ドクターヘリ連続出動で対応 〇防災ヘリ・ドクターカーなどで出動 〇他病院のドクターカー・隣県ドクターヘリに応援要請 〇直近病院や基地病院での受け入れ 他機関や他手段で対応する場合は、重複要請が入ったときに初めて調整しているようではタイムロスが生じてしまいます。その日その時のドクターヘリや他機関の状況を常に把握している基地病院のバックアップ体制が必要です。ホットラインが鳴った瞬間に、ドクターヘリに連続出動で対応した方がよいか、他機関の応援を頼んだ方が良いかを即決し、同時に関係各機関に連絡調整を行う動きが基地病院のER医師やCSには求められます。 そしてフライトドクター自身も現場処置や飛行にかかる時間を予想し、傷病者に対応しながら連続で行くか、ヘリだけ戻すか、ヘリを戻してはいけない状況なのかを判断しなければいけません。もちろん目の前にいる患者さんへの初期診療が絶対におろそかにしてはいけません。そのためにはフライトドクターも平時から決定的治療開始時間短縮のために、より現場活動の迅速化に向けた個々の努力も必要です。 先日フライトドクター&ナース1人ずつの体制(平時の基本形)で、初めて1日10件の出動がありました。本ブログで何度も書いていますが、決して件数が多いからよいと思っているわけ

ERの1日!~後期研修医1年目の奮闘記~

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集中治療科・救急科後期研修医1年目の小橋です。 今回は当院の救急外来 (ER) について紹介したいと思います。 当院は群馬県内で唯一、 高度救命救急センター ( 「高度」救命救急センターとは、 救命救急センターのうち特に高度な診療を提供する、厚生労働大臣が定める病院 ) を有する病院であり、その玄関である ER には年間約 2 万人の患者が walk in 、救急車、ドクターヘリなどでやってきます。 <2013年度ER実績> ・救急搬送件数 5703 人 / 年(応需率: 97.4 %) ・救急受診総数 18549 人 / 年 ・ドクターヘリ出動件数 843 件 / 年 ・ドクターヘリ搬送患者数 289 人 / 年 当院に限らず ER の役割は、様々な手段で来院した患者さんを受け入れ、重症度をトリアージし、その重症度・病態に合わせた適切な処置 ( 時には蘇生 ) を行い、その後の行き先を決定することですが、これらのマネジメントを行うのが ER Dr です。 当院では日勤帯・夜勤帯を問わず常に 2 人の ER 専従 Dr がおり、看護師 ( こちらも ER 専従 ) とともに 1 次 ~3 次救急患者への対応を行い、必要に応じて 専門科への相談や紹介を行います。 また、中毒・熱傷などの特殊疾患、多発外傷などの複数の科にまたがるような疾患については、 ER での処置後に引き続き当科にて管理を行います。 ここで、専攻医である私の ER での 1 日を紹介します。 休日は ER 専属医 2 人、研修医 2 人、心臓血管内科医 1 人、外科系医師 1 人、内科系医師 1 人、小児科医 1 人 ( 当番日 ) で対応します。 09:00  朝のミーティング、前日夜間帯からの Dr から、引継ぎの患者さんがいないか確認。 日中はホットライン担当は田中 Dr 、休日であり午前中は walk in が多い。研修医とともに診療に当たる。 09:20   ホットラインが鳴る、「右上下肢麻痺の患者さんの搬送よろしいですか?」 10:00 ホットライン「胸痛の患者さんです」 11:00 ホットライン「嘔吐・後頚部痛の患者さんです」 11:35 ホットライン「急性喉頭蓋炎疑いの方の転院受け入れよろしくおね