第28回日本外傷学会に参加しました。~『TBSSの全国的他施設共同研究』に挑戦します!~

6年目の小倉崇以です。
六月もあっという間に終わってしまいました。気がつけば、もう、七月。熱い季節の到来です。熱苦しいオトコ=小倉。滴る汗輝く、熱い夏が大好きであります。笑


さて、先週は日本外傷学会学術集会にて演題を発表してきました。演題は前橋高度救命の鉄板ネタ、「Traumatic Bleeding Severity Score: TBSS」についてです。今回はパネルディスカッションでの発表でした。



TBSSは重症外傷における出血重症度指標、また、大量輸血療法開始基準として開発されました。その有効性は、5月の「Journal of Trauma Acute Care Surgery」というアメリカの雑誌に、論文として掲載されました。(T. Ogura, et al. Predicting the need for the massive transfusion in trauma patients: The Traumatic Bleeding Severity Score. J Trauma Acute Care Surg. 2014; 76: 1243-1250. PMID:24747455)。

今回の発表では、このTBSSが、外傷性凝固障害の予測にも有用であることを証明した研究結果を発表しました。外傷性凝固障害は、大量出血によって引きおこされる合併症のひとつであるため、外傷性出血の重症度指標であるTBSSが、それを予測できることは当然予想がつくのですが、今回は、その当たり前のことを証明し、発表しました。そして、TBSSのスコアと24時間以内に必要となった輸血量との間に、正の相関があることもわかったので、そのことについても発表しました。




会場からは、たくさんの賞賛の声をいただきました。招待講演にいらしていた南カルフォルニア大学外傷センターのDr. Kenji Inaba先生からも、「I had read your paper about TBSS. Very good score!!」とコメントいただきました。Dr. Kenji Inaba先生はTBSSの掲載されたJournal of Traumaのエディターということもあり、たまたま小倉の論文に目を通してくれたのでしょう。本当にありがたい話です。北関東の小さな街の救命救急センターからの発信が、遠い国のドクターに届いていることが実感できました。幸せです。


この学会では、もうひとつ、本当に嬉しいことがありました。それは、今回のパネルディスカッションの座長を務めてくださった東北大学の久志本教授(現・日本外傷学会クリニカルトライアル委員会委員長)から、「外傷学会のバックアップで、TBSSの有効性について全国規模で検討してみないか?」と座長席から提案していただいたことです。突然の出来事すぎて、一瞬、頭が真っ白になりました。が、次の瞬間、「挑戦させていただきます」と力強くマイクを握っている自分がいました。



現在小倉は、日本外傷学会クリニカルトライアル委員会へ提出するべく、研究計画書を死に者狂いで作成中です。TBSSは今まで前橋高度救命の内部で検証され、結果を残してきました。それを今後は、外部機関でも同様に有用であるのか、全国規模で検証するのです。TBSSの真価が問われることとなるでしょう。

小倉は挑戦する生き物のようです。腹は決まりました。小倉はスタディの失敗やTBSSの否定を恐れません。断固たる決意を以てチャレンジをするのみです。このような場所を提供してくださった日本外傷学会と久志本教授に、心から感謝致します。

コメント

このブログの人気の投稿

新年度集合写真

先日ブログでご紹介した新型コロナワクチン筋注方法について訂正があります

タカラトミーさんが当院を取材