広域医療搬送受入訓練を行いました。(その1)~『実際に確認してみる!』~

町田です。

今日は群馬県榛東村にある陸上自衛隊相馬原駐屯地において、『広域医療搬送受入訓練』を行いました。実は2月17日に行う予定でしたが、100年以上ぶりの大雪の影響で延期になっていましたが、関係者の努力のおかげで新年度早々に行うことができました。
広域災害時に相馬原駐屯地にSCUを設置するための
資器材を群馬県に購入していただきました。

そもそも『広域医療搬送』とはなんでしょうか?
広域災害が起こり被災地で多数発生した重症患者に対して、被災地内の病院機能が破綻した地域から被災地外の病院機能が保たれている地域に搬送することで、災害時の広域医療搬送を行うかどうかの決定は国が行います。被災地内から被災地外へ患者を搬送する手段は自衛隊の機体で、被災地内の重症患者さんを集めて自衛隊機に乗せるユニット、自衛隊機で搬送され被災地外に到着するユニットであるSCU(Staging Care Unit)が設置されます。
今回は首都直下地震が起こり、立川の被災地内SCUから重症患者が相馬原駐屯地に搬送されるためにここにSCU設置する予定で訓練が行われました。ちなみに被災地外のSCUでは、最終的に搬送されてきた重症患者さんを決定的治療を行う近隣の医療機関に搬送するための病院選定、搬送手段の調整が必要になります。
都内の重症患者さんが立川駐屯地に集まり、自衛隊機で相馬原駐屯地に運ばれ、
最終的に群馬県内の医療機関に県の救急車やヘリで搬送されていきます。


今回の訓練の目的は3つありました。
①SCUのために群馬県が購入した資器材で実際にSCUを立ち上げてみる。
②机上で話し合った各機関の連携が実際にうまくいくのか確認する。
③域内搬送手段の運行動態監視システムの有効性を確認する。

①に関しては、当初の計画のベッドの配置では不具合が多くベッド配置を変更したり、救急車の導線を変更したらうまく回ったなど、やはり実際にやってみて気が付くことが多くみつかりました。また、もともと風の強い群馬県でプロジェクターに映すためのスクリーンや消防本部ののぼりが風で倒れそうになったり、大型ヘリの風でホワイトボードや書類が飛ばされそうになるなど、気象条件も相当気にしないといけない事がわかりました。

②に関しては比較的連携はうまくいったように感じます。各機関の連絡手段、各ブース(SCU本部、地域医療搬送調整チーム、診療チーム)のレイアウトによって、連携のスムーズさに大きな違いが出ることを感じました。僕は地域医療搬送調整チームのリーダーを担当しましたが、SCU本部のすぐ横に配置したので本部との連携はスムーズに行うことができ、またチーム内では消防の方々と顔の見える関係がすでにで来ていたので、患者さんの搬送にかかわる輸送手段の調整もよい雰囲気で行うことができました。とはいえ、やはり無線の入らない地域があったり、連絡の件数が増えすぎてしまったりなど、まだまだ解決すべきことも多く見つかりました。
今回のSCU本部長は高橋先生でした。
地域医療搬送調整チームは渋川消防&DMATの混成チームです。
運行動態監視システムでWeathernewsの担当者も参加です。
自衛隊機から搬送されてきて患者さんを診療チームが安定化を確認し、
救急車やドクターヘリ、防災ヘリで県内の医療機関へ搬送しました。
 
③については、リアルタイムで救急車や防災ヘリ、ドクターヘリの動きがわかることで、患者搬送するための搬送手段のプランニングにとても有用でした。実際にいま救急車やヘリがどの辺を運行しているのか、患者さんが病院へ着く時間などが手にとるようにわかりました。 
ドクターヘリ、防災ヘリがそれぞれ群馬ヘリポートから相馬原駐屯地へ向かっている軌跡です。
すでに両ヘリともSCUに到着していて、さらに救急車がスタンバイしていることもわかります。

ヘリコプター2機が前橋赤十字病院に傷病者を運び、救急車は渋川総合病院に搬送しています。
ちなみに中央右横に伸びる青い線は、訓練終了直後に実出動しているドクターヘリの軌跡です。


今回実際にSCUを設置してみていろいろ良い点、改善点で目に見える形でわかりました。これは大きな収穫です。この訓練をもとに関係各機関でさらに話し合いを進めてマニュアルの改訂や次の訓練を進めていく予定です。


*尚、今回は駐屯地内での訓練でしたが、写真はすべて陸上自衛隊第12旅団の許可を頂き撮影しています。


コメント

  1. 一文字違い2014年5月14日 21:29

    相馬原で何かの訓練が行われていることを察知しましたが、これだったのですね。
    暑い中、このような訓練が行われることは、近い将来?発生する可能性があると言われる大地震に対するためにも重要なことですね。
    色々な機関が連携して有効な活動されるようお願いしたいと思います。

    返信削除
    返信
    1. 一文字違いさん、コメントいただきありがとうございます。
      実際に考えていたことがキチンと運用されるかを試す訓練で、実際にやってみるとさまざまなことが課題として浮かび上がりました。でもそれ以上に思ったようにうまくいたことも多々ありました。これも大きな収穫です!
      やはり大切なことは連携です!これからも各機関のつながりを大切に活動していきたいと思います。

      削除

コメントを投稿

コメントは管理人が確認の上、公開の判断をさせていただいてます。状況によっては公開まで数日頂くことがありますのでご了承お願いします。

このブログの人気の投稿

新年度集合写真

先日ブログでご紹介した新型コロナワクチン筋注方法について訂正があります

新たに6名の仲間が加わりました!~2016年度 新スタッフ紹介~