『小児は小さな成人です!』

町田です。

救命救急センターには赤ちゃんからお年寄りまで年齢を問わず様々な患者さんがやって来たり運ばれてきます。とくに小児2次輪番当番日には、小児科の当直の先生はほぼ一睡もせずに朝まで患者さんを診続けています。

少子高齢化の時代において、救命救急センターを受診する小児患者の重症例の割合はとても少ないです。症例数が少ないからこそ小児の重症患者が搬送されてくるときは、いつも以上にどのスタッフにも緊張感が走ります。成人ではいつもスムーズにできる手技であっても、小児だと経験数の少なさから不安な気持ちや戸惑いの気持ちをどこかに秘めてしまうことがあります。もちろん救命のために全力を尽くして活動していますが、やはり初療、集中治療管理などマネージメントも含めて自信をもって小児の重症例に立ち向かいたいという思いをどのスタッフも抱えています。

 国立成育医療研究センターです。ヘリポートがあり当院からヘリで40分ほどで到着できます。

先日のHEM-Netシンポジウム(詳細は ⇒ http://drheli-gunma.blogspot.jp/2013/09/hem-net.html )で小児の重症例のお話を聞かせていただいた国立成育医療研究センターの六車先生に、今週初めに当科スタッフを対象に勉強会をしていただきました。
最初に小児の重症症例の現状と集約化の話題、そして当院が群馬県における小児重症患者の拠点化になる必要性について提案していただきました。
そして何よりもスタッフ全員をうならせたのは、「救急科医は成人だけ見るものではない。救急科専門医に成人だけ診ればよいという決まりはない。逆に小児も見られないとそれは本当の資格ではない!」という言葉でした。
小児救急の現状にびっくり!小児重症患者の対応の考え方に目が点でした!
小児の患者さんを診察するにあたって、『小児は小さな成人ではない。』と昔からずっと教わってきましたし自分も後輩に教えてきました。もちろんそれは間違えではなく、小児特有の病態や反応があるのでそのことを十分考慮した診察が必要です。
しかしながら小児の重症症例、特に緊急度が高くABCの安定化のための初期診療においては、『小児は小さな成人です!』と勉強会で教えていただきました。もちろんデバイスのサイズや薬の量は成人と異なりますが、よくよく考えるとA(気道確保)、B(呼吸管理)、C(循環補助)に関して行うことは全く同じです。今までは小児というだけでちょっと構えたり頭を悩ませすぎることがありましたが、そのひと言は本当に説得力がありました。

症例報告においては活発なディスカッションと貴重なご意見をいただきました。
当科からも重症患者の管理に難渋した症例について報告させていただき、六車先生を始め成育医療センターから来られた4名の先生方に貴重なご意見をいただきました。「確かにここのところは成人の管理の時と同じだよね!」と思うことが多々ありました。


群馬県ドクターヘリも小児重症患者のもとに駆けつけることがあります。その時に今まで以上に確固たる自信と落ち着きをもって初療を行い、そして当院でしっかりと集中治療管理を行うことで1人でも多くの子供たちを助けていきたいですね。
今回の勉強会をきっかけに救急科専門医により高度な小児医療が展開されている病院と連携を深めて様々な交流を行っていきながら、当院でも小児科の先生を始め専門科との連携、県内の小児医療機関との協力体制を築いて、群馬県の小児救急医療のレベルをしっかりあげていきます。

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