早くスイッチを入れる!~オーバートリアージ許容~


町田です。

今日の夕方に久しぶりに「緊急地震速報」がありました。テレビや携帯などから流れるあの音は、いつになっても嫌な胸騒ぎがします。
今日はたまたま一般病棟の回診をしているところで緊急地震速報が鳴り響きました。もちろんこの時点で災害対応のスイッチオンです!まずは安全第一を心掛け、エレベーターを使用せず階段で救急外来まで駆けおりました。
しかしそこではいつもと変わらない光景・・・そうです、地震の場合は実際に揺れを体感しないとなかなかスイッチが入らないのですね。というよりは落ち着いて対応していました。救急外来の事務員がすでにテレビやインターネットで情報収集をしており、最終的は震度1以上の地震はなかったということでした。

「ほっ」としました。緊急速報がなっても実災害がなかったことは本当に安心することです。
この速報がなく実災害が起こったことを考えると、この速報により皆さんのこころの中に「気をつけろ」というスイッチが入ることがとても大事なことです。


ドクターヘリの要請についても、いわゆる「空振りOK」としています。
少しでも重症度、緊急性が高いと疑った段階でためらわずに要請をすることで、本当に必要であった時へ早いスタートを切ることができます。早期医療介入が救命率、社会復帰率が上がることはすでに証明されていることです。このことを『オーバートリアージ許容』という言葉で、基地病院と消防との間での共通認識として活動しています。

ある救命センター長から、『100件のオーバートリアージより、1件のアンダートリアージの方が罪である』という言葉をいただきました。
本当にその通りです。ドクターヘリだけではなく救急外来に来た患者さんに対しても、最初は「なにか重大なことが潜んでいるかも」と考えて対応した方が、患者さんにとって最悪な結果をより減らすことができます。


確かに今回の速報で何らかのマイナスの影響を受けた方もいるかもしれませんので、精度をあげることは重要な課題かもしれませんが、まずは早くスイッチを入れるきっかけとなる仕組みがあること、そして何よりも大きな被害が出なかったことをよしとしましょう!


消防覚知段階での要請、ドクターヘリで向かっている途中で救急隊により軽傷と判断、ドクターヘリキャンセル・・・これでいいのです。それはキャンセルの数以上に早期要請によって救うことができた命がたくさんあるからです!

コメント

  1. いつも大変なお仕事ご苦労様です

    ブログ文を身を引き締めて読まさせていただいております 
    県内に命がけで能力ぎりぎりあるいはそれ以上を絞り出す現場対応の方々がいらっしゃることに本当に頭が下がる思いがいたします
    命はゆだねられた側の力の量(ポテンシャル)で助命の明暗がわかれると身につまされます
    皆様のご活躍は群馬県の様な危険馬鹿地域の目を覚めさせてくださいます
    これからも底力を見せつけ、私どもにカツをいれてくださいませ
    天候極悪の折どうぞご自愛下さいます様に
    日々平安!!


    追記
    大変、申し訳ありませんが医療専門用語には脚注をいただけますと幸いです
    オーバートリアージ(緊急度評価:軽症の人を重症扱い)
    アンダートリアージ(緊急度評価:重症の人を軽症扱い)

    返信削除
  2. コメントありがとうございました。
    いつまでもそのように思っていただけるように、これからも一生懸命頑張ります。
    今のご時世では群馬にもいつ何が起きてもおかしくありません。皆さんとともに一人でも多くの命を守るための活動ができるように考えていこうと思います。

    ご指摘いただいた通り、最近用語の説明が不足していました。
    大変申し訳ありませんでした。文章を書くのが苦手な僕ですが、これからはさらに皆さんにわかりやすい内容になるように頑張ります。これからもよろしくお願いします。

    返信削除

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