フライトドクターの決断!~ドクターヘリと防災ヘリのコラボ~

町田です。

昨日のブログでは、ドクターヘリとドクターカーのことについて書かせていただきました。今後群馬県内でもドクターカーが増えてきて、現場に医療スタッフを引き出す手段が増えてくることが予想されています。それはとても良いことであり、あとはそれを有効に活用できるかどうかは「消防の判断力・調整力」「各病院間の連携」に尽きると思います。目的は同じ「1秒でも早い医療介入」です。目的が同じであれば難しいことはないはずです。

今日は「ドクターヘリと防災ヘリのコラボ」の話題です。
当院は群馬県ドクターヘリの基地病院であるとともに、群馬県防災ヘリドクターヘリ的運用の協力病院です。防災へリのドクターヘリ的運用は、何らかの理由でドクターヘリが出動出来ない際に、条件さえ合えば当院屋上ヘリポートで救急科医師、看護師をピックアップして現場出動、転院搬送等を行います。普段は救助仕様の防災ヘリも、今ではたった10分で救急仕様に変更して群馬ヘリポートを離陸するので、おおよそ要請から15分後には当院で医療スタッフのピックアップを行っています。
ドクターヘリ、防災ヘリの2機でうまく運用することで、重複要請や多数傷病者事案に対応することが可能な場合があります。


先日山間部にドクターヘリで出動し現場活動に入った途端に次事案の要請が入りました。「小児で重症」という言葉にフライトドクターは「何とかしなければ・・・」とピンっと来たようです。しかし目の前のの傷病者も重症・・・そこで下した判断は、「まずはドクターヘリを基地病院に戻し、セカンドスタッフで次事案にすぐに駆けつけてほしい!」ということでした。もちろん基地病院ではすぐに次事案への出動スタッフが準備をして、戻ってきたドクターヘリに乗って出動しました。ここまでは実はよくあることです。
実は、対応中の事案についても初期治療でバイタルサインの安定化を図れたものの、早期の根治治療が必要な状態でした。そこでドクターヘリを戻すと同時に防災ヘリをその事案のランデブーポイントに要請しており、現場活動中に駆けつけた防災ヘリにより速やかに病院へ搬送することができました。

また、山間部の多数傷病者事案においてもドクターヘリ側から防災ヘリの応援を要請することがありました。
山間部の多数傷病者事故の場合、どうしても直近に搬送先がない場合があります。もちろん軽傷であれば救急車で時間がかかっても陸送で大丈夫なことが多いですが、中等症以上であれば搬送中の急変のリスクがあったり、なによりも山間部を抱える消防本部の救急車を複数台もその地域から離すことは、その地域の救急医療を一時的にも崩壊させてしまう恐れがあります。
その日はたまたまセカンドスタッフが一人も出せなかったため、ドクターヘリで現場に向かいながらすぐに防災ヘリに声をかけておきました。実際に現場に近づくにつれて事故概要と傷病者の人数がわかり、「医療チームは1チームで戦えるけど、明らかに搬送手段が手薄すぎる・・・」というフライトドクターの判断で、すぐに防災ヘリの応援を要請しました。




群馬県は県内どこでもヘリであれば20分以内でたどりつけるコンパクトさから、このようにヘリの現場投入が容易であると思います。そのような背景があるからこそ、ドクターヘリや防災ヘリであっちこっちでコラボできているのだと思います。
これらを迅速かつ有効に生かすためにはフライトドクターが゙決断しなければいけません。もちろん現場ではなかなか全体像が見えないところがあり、ERスタッフやCSが様々な形でバックアップしています。
今後は北海道のように県警ヘリ、自衛隊ヘリ、そして群馬に5機ある赤十字飛行隊との連携も模索していきたいですね!

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