空から、陸から!vol.1 ~ドクターヘリとドクターカーのコラボ~

町田です。

しつこいようですがドクターヘリの最大の目的は、「現場に医療スタッフを派遣し1秒でも早く高度の医療を開始する」ことです。
でもこれはドクターヘリに限ったことではありません。当院は消防からの要請で現場に医療スタッフを派遣する平時の手段がヘリしかないため、いつもヘリで出動するか救急車搬送の方が早いと判断すればそのまま受け入れを行っています。もちろん緊急車両を用いたドクターカーがある病院では、ドクターカー運用を行っていますね。さらに自転車なら“ドクターチャリ”、走っていくなら“ドクターラン”だって悪くはありません。(ただし迅速性と安全性を忘れてはいけませんが・・・)


当院は今年よりドクターカーの試行事業が始まっており、近年中には正式にドクターカー運用を行う予定で進めていますが、まだ今のところドクターヘリのみで現場医療スタッフ派遣を行っています。
しかし県内の他の救命センターでは現場に医師を派遣するドクターカー運用をすでに行っているところや近々始めようとしているところもあり、これはその地域の救急医療にとってとても素晴らしいことだと思います。とにかく早く救急医が傷病者に接触し生理学的に安定化を図ることは、救命や社会復帰にとって大いに有効であることはすでに証明されているからです。

そのような中で先日ドクターヘリとドクターカーのコラボ事案がありました。
とある地域で発生した救急事案に、消防の判断でドクターヘリとその地域の病院所有のドクターカーを同時要請しました。その時はドクターヘリが先着してすぐに初期診療を開始、続けてドクターカーが到着しました。傷病者の地域性を考慮して、最終的にドクターカーに引継ぎ救命治療を継続しながら病院に搬送されました。
とにかく最初に書いたように「早期医療介入」が大原則です。地域によっては、ドクターヘリ、ドクターカー、直近病院搬送のどれが救急医の接触が一番早いかが微妙なところもあります。その時は全部考慮して動けばよいだけです。消防はまずスイッチを入れて各システムを起動させておいて、活動しながら最終的に選択すればよいのです。マンパワーが必要と判断すれば、そのまますべてを活用してもよいのです。
消防も医療も「早期医療介入」の姿勢をつねに忘れずに活動していただきたいと強く願っています。そしてそれぞれが県内でバラバラに活動しないように、定期的な調整が必要になってくると感じています。(管轄する病院が違うことを理由に、ドクターヘリとドクターカーがそれぞれ独立して活動していたら、要請する側の消防が混乱し結局は県全体の救急医療のまとまりがなくなりますよね!)
群馬県ドクターヘリと前橋赤十字病院ドクターカー。
(写真と本文は関係ありません。)

ちなみに今月は21日までの段階でドクターヘリ要請80件(転院搬送を除く)のうち45件が救急隊現着前要請と久しぶりに50%を超えています。
しかし全国一の出動件数でつねに高いレベルで活動している兵庫県ドクターヘリは、覚知要請率約9割です。基地病院がある消防本部の方に話を伺ったところ、「現場に医師が来ることでできることがたくさん増えるので、現場に引っ張り出すことに何の抵抗もない」とのコメントをいただきました。その基地病院である公立豊岡病院 但馬救命救急センター長の小林 誠人 先生に、来月の群馬県ドクターヘリ症例検討会に参加していただき、それに引き続き地域医療連携学術講演会でご講演をしていただくこととなりました。
群馬県の各消防本部のご協力もあり群馬県ドクターヘリもようやく他基地病院なみの活動ができるようになってきましたが、当院スタッフを含めて他基地病院の話を聞くことでもっと様々なことが勉強できると思っています。来月の講演会が群馬県のプレホスピタル医療にどのようなスパイスを加えていただけるかとても楽しみです。

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