全国レベルに負けないように!~フライトドクターへの道~

町田です。

昨日もドクターヘリの重複要請がありました。ファーストスタッフより「セカンドスタッフ対応可能であればヘリを戻します!」の指示があり、ちょっと暇にしていた僕とERで待機していた原澤先生で次の現場へ出動しました。また、先日ドクターヘリを戻せない状況においては、防災ヘリによるセカンドスタッフピックアップ方式で僕と小倉先生で現場に出動しました。
原澤先生、小倉先生ともに間もなく独り立ちに向けてOn the job trainningの段階です。勤務の都合でその2件ともにドクター2名で出動し、僕はフライトナースの業務に専念して両先生にはフライトドクターが1名しかいないという思いで頑張っていただきました。

  

フライトドクターの独り立ちに関しては、全国で共通のルールはありません。これは基地病院ごとによって異なっているのが現状です。そこで大切になることは「質の担保」です。
ドクターヘリ事業が始まって10年が過ぎ、特に先陣を切って運航を開始した基地病院の質の高い医療提供があったおかげで今この事業が継続しかつ全国に広がっているのだと感じています。現在41機のドクターヘリが全国を飛び回っていますが、4年前に群馬県が開始したときはまだ17機目でした。その時に誓ったことは「全国レベルに負けないドクターヘリ活動」でした。

ドクターヘリ活動におけるフライトドクターの大切な役割は、質の高い初期診療、他機関との連携、地域の医療事情に合わせた活動、など多岐にわたります。
つまりフライトドクターとして独り立ちするためには、これらをしっかりできることが求められます。

・質の高い初期診療
心肺蘇生、外傷の初期診療講習の受講は当たり前のこととして、当院ではER診療、ICU管理、当直業務、入院患者の主治医業務がしっかりできることを認められてから始めてドクターヘリの同乗訓練が始まります。そのため現場での診療に関しては新めての指導を不要な段階です。

・他機関との連携
同乗訓練が始まる前に、救急車の同乗実習、防災ヘリのピックアップ訓練、災害初期対応コースの受講を行っています。また平時より救急隊や病院実習の救急救命士などとの積極的な交流を行っています。またヘリ出動時は積極的にCS室で運行会社のスタッフと連携を取りながら地上からのバックアップを行っています。情報はかなり重要な役割を占めているので、同乗訓練中には徹底して無線での通信を指導します。

・地域の医療事情にあわせた活動
医療事情は地域ごと、平日と休日など様々な条件で変化しています。搬送先決定、複数傷病者の対応など、地域の医療事情を常に理解しながらの活動が求められます。群馬県は医療圏を考慮した搬送を意識した活動をしていることもあり、各病院との協力体制がとても重要になります。ということもあり、平時より群馬県中の救急医療にかかわる当科のスタッフを必ずフライトドクターとして乗せることにしています。


同乗研修に求められた件数は30件だけです。しかしその同乗研修を始めるまでに厳しい道のりが控えています。それもすべていま全国に広がったドクターヘリの質を落とさないため、いえいえ群馬からでも質の向上に貢献できるように、基地病院としての責任感を持って今のフライトドクターも今後とも活動していきます。

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