『2nd EURO-ELSO 2013 in Stockholm』に参加しました。


皆様、こんばんわ。レジデントの小倉崇以です。

先日はヨーロッパ外傷学会の報告をさせていただきましたが、今晩はその直後にスウェーでンストックホルムで行われたヨーロッパECMO学会(EURO-ELSO)の報告をさせていただきます!


 
ECMOの神様 パルマ―先生と!

 
ECMO(エクモ)とは「体外式膜型人工肺」と日本語訳されますが、これは何に使うか?と言いますと、簡単に言えば、心臓がダメになってしまった患者さんや、肺がダメになってしまった患者さんに装着する人工臓器です。それぞれ心臓用はCardiac ECMO、肺用はPulmonary ECMOと呼ばれています。

カロリンスカ大学のECMO機器

近年、世界レベルでこのECMOの需要が高まってきています。日本で注目されたきっかけは、2009年にかの有名な新型インフルエンザが大流行でした。世界中で重症呼吸不全の患者さんが大勢出てしまい、人工呼吸器ではどーにもこーにも呼吸がおっつかない患者さんもかなりの数いたわけです。

欧米諸国ではこのような重症呼吸不全を呈した新型インフルエンザの患者さんにこのECMOを用いて管理しました(Pulmonary ECMO)。その結果、救命率はおおまかに7080%といったところだったと聞いております。非常に良い成績だと言えます。
ところが、日本はといいますと、そのECMO管理となった患者さんの成績はなんと救命率40%以下!!統計として出て来ているだけでこの数字です。悪い結果を隠す傾向のあるこの国の気質から考えると(笑)、さらにECMOが導入できずに管理せざるを得なかった方々が多くいたであろうことを考えると、実際の救命率はもっともっと低い。。。。10%前後が実際の数字ではないか?という声も聞こえます。

この日本の現状を打破するべく、日本医大の竹田先生を中心に、日本でのECMO治療の成績アップを図るべく、昨年から日本呼吸療法学会を通して、ECMOプトジェクトが始動しております。
当院も副部長の鈴木先生をプロジェクトリーダーとし、ECMOプロジェクトチームを結成し、当院でも質の高いECMO管理ができるよう、日々学び、腕を磨いているのです。

私も当院のECMOプロジェクトの副リーダーとしてこのプロジェクトを引っ張って行っているドクターのひとりですが、今回はこのECMOについて議論を深めるべく、ヨーロッパECMO学会に演題発表がてらに参加してきました。

さて、こちらEURO-ELSOでの発表は、「Sucsessful Management with VV-ECMO: a case report of acute leukemia wiht alveolar hemorrhage」。白血病の血液凝固障害で肺から出血して止まらなくなってしまい、全く呼吸ができなくなってICUに運びこまれた方に対して、ECMOを導入して救命しました。
なつかしいですね、この方はちょうど去年の今頃お会いしたんです。
最初は後輩たちが診ていたんですけどね、「まずい。おぐちゃんアイデアある?」って突然に聞かれて、「ECMOやろ!」と直感で答えました。
そこから僕が診ました。出血を止められるかが勝負でしたが、みんなと知恵を出し合ってなんとか勝ちました。日々、外傷で出血と戦っている僕らです。この時こそは、その経験が生きたと思いました。

正直なところ、普通はこのような患者さんの救命は不可能に近いです。この手の患者さんの救命例は世界に類を見ないでしょう。改めてECMOの凄さを実感しました。この経験は奇跡的なものだったかもしれませんが、これが奇跡だったと言わせないために、日々技術を修練し、このような超重症な絶体絶命の患者さんを一人でも多く救命してゆきたいと思います。


なお、この学会ではECMOの聖地ともいえるカロリンスカ大学ECMOセンターで、ECMOのトレーニングコースが開催されました。私もカロリンスカ大学にお邪魔し、トレーニングを受けて来ました。今後はこのトレーニングの成果を発揮し、当院のECMO治療の成績向上に努めようと思います。

カロリンスカ大学(ストックホルム)

ECMOトレーニングコース

コメント

  1. 小倉先生の夢って何ですか??

    返信削除
  2. 当科スタッフそれぞれが大きな夢をもって日々の診療に取り組んでいます!
    小倉先生の夢は・・・それはこのブログ上では秘密ですが、きっと大きなものを心の中に秘めてますよ。

    返信削除
    返信
    1. そうですよね(^-^)

      誰しも皆が、心の中に大切な何かを秘めているものですよね(^-^)


      出逢えて良かった。


      色々とありがとうございました。

      削除
    2. こちらこそいつも励ましのコメントをありがとうございます。

      もちろんいつかこのブログでスタッフのそれぞれの夢を紹介できればと思っています。もちろん自分で書いてもらいますよ!

      これからもよろしくお願いします。

      削除

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