ECMO研修 in スウェーデン vol.2

みなさん、こんにちは。鈴木です。


2013128日から28日までの12日間、日本呼吸療法医学会ECMOプロジェクトの仲介によりカロリンスカ大学のECMOセンターでECMOの研修をする機会を頂きました。

本日は第2回目です。カロリンスカ大学と当院の違いを紹介します。
 

 
今回の研修で世界トップレベルのECMO治療と当院でのECMO治療との「違い」を実体験することが出来ました。
 
<当院との違い①:ECMO機材>
ECMO機材の主要なパーツは3つあります。患者さんの血管に留置する「カニューレ」、血液を引き出し送り返す「ポンプ」、血液に酸素を与える「人工肺」です。カロリンスカの機材は当院の機材と比較し「カニューレ」は充分な血液流量を確保できる太く短いもので、「ポンプ」は血液に負担のかかりにくいもので、「人工肺」は1カ月程も長持ちするものでした。高い治療成績をあげるにはそれなりの準備が必要です。当院もカロリンスカと同等のECMO機材で治療が出来るよう準備を進めています。
実際のECMO機材
 
<当院との違い②:ECMO中の管理>
ECMO中の患者さんの管理も通常と大きく異なるものでした。特に患者さんへ供給する酸素量については、酸素需要と酸素供給のバランスという生理学に基づいた独特の管理がなされていました。その理論と実際の管理を学ぶことが出来ました。今後のECMO治療に活かすことが出来ます。
VV-ECMOで治療中の患者さんのモニター。SpO2 72%でも問題なし!
 
<当院との違い③:ECMO中の看護>
ECMO中の看護を研修するため当院のICU看護師1名も途中から参加しました。看護師の視点は医師の視点とは違います。看護師の視点で本場のECMO治療を経験し、その違いを実感できたことは当院でのECMO施行時の看護を考える際に大いに参考になります。
関口看護師。ECMO-ICUの入り口にて!
 
<当院との違い④:患者の集約化>
ヨーロッパではECMOを必要とする患者さんをECMOセンターに集約し治療しています。カロリンスカECMOセンターには搬送システムが確立されており、たとえ数百km離れていてもECMOが必要な患者さんが発生すればその病院へ迎えに行き、ECMOを導入してECMOをつけたまま連れて帰ってきます。搬送には巨大な救急車やジェット機が使われます。このように患者を集約化するシステムが治療成績を向上させるためには必要と思いました。年間何十例とECMO治療を行う病院と年間数例の病院とでは治療成績に差が出るのは当然と思います。
患者搬送に使われる救急車とジェット機。搬送を2回経験しました。
 左:トラックを改造した救急車内の様子。右:飛行機内の様子、機内食がでました!


 
当院も高度救命救急センターとしてハイレベルなECMO治療を提供し、他院から患者を託されるような施設へレベルアップを図っていきたいと思います。
 
To be continued!

コメント

  1. 初めまして、ECMOに興味があります。大変恐縮ですが、全国で年間どれだけのECMO症例があるのかお伺いしたいのでが。

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    返信
    1. ご質問いただきありがとうございます。
      ECMOは呼吸補助のためのVV-ECMOや心肺補助のためのVA-ECMO(以前はPCPSと呼んでいました)があり、なかなかひとまとめに日本の1年間の稼働件数の把握はできていないようです。大変申し訳ありません。

      削除

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