“救急医が現場に行く意義!”~NHK『DEEP PEOPLE』を見て・・・~

集中治療科・救急科&フライトドクターの町田です。  

今回もご協力をいただいた
高崎総合医療センターです。
(後ろの高層建物は高崎市役所。)

昨日はドクターヘリが4件要請3件出動がありましたが、昼間の救急外来は比較的落ち着いていました。しかし当直帯に入って50人を超える患者さんが受診し、当直医師ほぼ全員が夕方から1時頃まで救急外来に集結していました。夜中は重症患者の救急搬送が続き、前回に続き(5/23のブログ参照)今回の当直でも重症ベッドをオーバーフローさせてしまい、結局朝方に搬送された重症患者は日勤帯まで救急外来で管理し、県内の救命救急センターにICU管理目的で転院させていただきました。重症患者の対応中に別の救急車の受入要請1件に応需できなかったこともあり、一晩中働いたわりには虚しさと悔いの残る当直になってしまいました。ちなみに、夜中のDEEP PEOPLEの再放送・・・10分しか見られませんでした。
今日もドクターヘリ4件要請いただきましたが、天候の急変などもあり1件しか出動できませんでした


本放送も再放送も見られなかったNHK『DEEP PEOPLE~フライトドクター~』ですが、きちんと録画してみました。 

約3年前に日本医大千葉北総病院で
1週間OJTをさせていただきました。
個人装備(“靴”)の話から始まり、“現場でどこまで行うか?”“家族を乗せるか?”などいつも現場で悩むことの議論は、とても興味深く見ることができました。番組では“現場でできることは行う松本先生(通称アグレッシブ派)”と“最低限の処置で早期搬送をする小林先生(通称早期搬送派)”という番組上では視聴者にわかりやすい構図になっていましたが、高山先生を含めて日本のドクターヘリをリードしている先生方でも悩み、そしてその時の状況で臨機応変に対応していることがわかりました。僕は日医千葉北総病院でドクターヘリの研修をさせていただき、その時の強烈な印象があるためどちらかというと“アグレッシブ派”かもしれませんね。ちなみに但馬救命センタースタッフブログにコメントを入れさせていただきましたが、小林先生より実は“超アグレッシブ派”との返事をいただきました!

地上ヘリポート、離陸まで3分!
(当院も早く移転場所の決定を・・・)
この番組内で各先生方がそれぞれ“医師が現場に行く意義”について語っていました。ドクターヘリの最大限の目的は、できるだけ早く傷病者に接触し治療を開始することです。そのための手段としてのヘリであって、ヘリ以外でも傷病者に早く接触できるのであれば、車でも自転車(“ドクターチャリ”)でも何でもよいのです。傷病者の詳細情報はほとんど持たない状況で現場に向かい、その現場も時とし救助現場であったりすることもあるので、やはり現場に行く医師はどのような状態でも周囲のメンバーとすぐにチームビルディングを行いかつリーダーシップを発揮しながら、傷病者に対してはきちんと初期対応ができる救急医でなくてはいけないこともあらためて感じました。(番組内でも各先生がおっしゃっていましたが、“ドクターヘリが入っちゃえばその地域の救急医療がよくなるわけではない”ということですね!)

最後にドクターヘリを要請するのは消防で、やはりその消防との連携の大切さも番組内で取り上げられていました。小林先生の“キーワード方式”、高山先生のエマルゴによる訓練など、参考になることがたくさんありました。Face to Faceの関係をより緊密にすることが必要不可欠ですね。
ちなみに群馬県ドクターヘリも先週の症例検討会(DEEP PEOPLE放送の影響もあり?)以降、消防覚知要請、救急隊現着前要請がまた増えてきました。それに伴いキャンセルもちょっと増えたのですが、逆に早期要請のおかげで現場での劇的救命を行えた症例もありました。

本当に勉強になった番組でした。これから先もっともっと個人レベルアップ、消防とのさらなる連携強化を行い、最終的に群馬県ドクターヘリがより高いレベルで活動ができるように頑張っていきたいと思います。

よりレベルの高い病院前医療活動のために、
・覚知~要請、要請~離陸時間の短縮
・現場でのチームワーク、リーダーシップ
・現場で高度の医療を提供できるスキル
・現場活動時間、病院搬入時間の短縮
・ヘリが使用できないときの代用手段
など、まだまだ多くのことが求められます!


コメント

  1. うみんちゅ2011年5月26日 23:08

     Deep people見ました。患者さんに近づくために、山の中を歩いたり、ヘリポートまで患者さんに見られているので走っていく話など、普段本などでは見ることのできない内容にとても面白かったです。
     たくさんの苦労があると思うのですが、やはりドクターヘリ(救急救命)の仕事はとてもかっこいいと改めて感じました。そういう面で群馬県ドクターヘリのブログ更新とても楽しみに見ています。これからもお願いします。

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  2. うみんちゅさん。
    今日も午前中出動があり、ヘリポートまで走り、到着後すぐに救急車に乗り、声掛けをして、現場でできることを行い、できるだけ早く病院に搬送しました。先日の番組で、高山先生、松本先生、小林先生がおっしゃっていたことを思い出しながら活動しました。
    とにかく“患者さんのもとへ1秒でも早く到着し、高度な医療を提供する!”という目的をはたすために、これからも頑張ります。いつも応援ありがとうございます。

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