ICUのベッドをコントロールせよ・・・

今週に入っても相変わらず晴天が続いている群馬ですが、北風が強く吹き付ける日々も続いており、給油のために群馬ヘリポートに行ったままそこで待機になってしまったり、晴天なのにあまりの強風で急に運休になったりと、“上州の空っ風”との戦いは続いております。ドクターヘリは今月も平均1日1件以上は出動していますが、相変わらずここ2ヶ月では最も少ない出動ペースになっています。心・脳血管疾患など内因性疾患が増えている時期ですが、内因性疾患に対する要請の割合が少なくなってるのが気になるところです・・・


群馬県は全体的に医師数が不足していることに加え、地方病院への大学病院などからの医師派遣中止などの影響で、遠隔地からの重症患者の転院搬送や当直帯の救急搬送の依頼が増えています。なんとかそのようなリクエストに応えようと日々努力していますが、いくぶんICUのベッド数に限りがあり100%お答えできていない現状があります。(ただし、ドクターヘリ要請を躊躇してあとから転院搬送になっているケースがいまだに見られています。早期医療介入により重症化を食い止めることができたり、救急科医師による現場からのMedical controlも可能なのですが・・・)



当院ICUは研修医を含め当科3~4名と麻酔科1名の
計4~5名が“ICU専従医”として毎日配備されています。
患者さんの全身管理に日々勤めています。
現在ICUは10床で運営していますが、今年は元日からICUのベッドが10床とも常に埋まっている状態です。本当にICUのベッドに余裕がある日が1日もない状態が続いています。とはいえすでに今年約40人の新入室患者さんを受け入れています。常にベッドがいっぱいである状況なので、新入室患者を受け入れるためにはICU入室中の患者さんの全身状態を改善して一般病棟に転棟させる必要があります。つまり、予定された術後の患者さんや救急外来に搬送された患者さんの入室のために、できるだけ早期にICUから退室できるようICU専従医(ICU当番となった当科や麻酔科医師)は一生懸命患者さんの全身管理を行っています。(1日平均で2名退室と新入室2名の受入を連日続けている状態です・・・)





人工呼吸管理に使用される人工呼吸器。
早期の離脱を目指しています。
高齢化時代を反映しているのか特に高齢者の呼吸不全の患者さんの入室が多く、人工呼吸器から離脱するまでに難渋するケースが増えています。当院ICUでは、積極的なAPRV(Airway Pressure Reliese ventilation)の導入(当科医師作製のプロトコールがあります!)や腹臥位療法など呼吸理学療法(看護師が積極的に行ってくれます!)をどんどん行い、そして必要の際は躊躇なくICUで気管切開を行い、できるだけ早い人工呼吸器からの離脱とICUからの退室を目指しています。またいずれ詳細は紹介させていただこうと思いますが、当院ICUではAPRVの導入をはじめ呼吸管理について積極的に様々な試みをしています。実際に呼吸管理を勉強したい目的で当科で後期研修を行っている医師もいますよ。(興味のある方は、いつでも見学大歓迎です!)

近いうちにICUのベッドが増床になる予定で、それに向けて当科でも人員配置などいろいろ調整中です。本当に高度救命救急センターのICUでの治療が必要となる患者さんがひとりでも多く入室できるようになんとかしようとしているところです。それまでは他科主治医の方々にご迷惑をかけたり、他の病院のご協力を仰ぐこともあると思いますが、ご理解のほどよろしくお願いします。
それにしてもいつになったらベッドコントロールの悩みから開放される日が来るのでしょうか・・・


いよいよ、明日から当院初開催のJATECコースが始まります。インストラクターや受講生で前橋にすでに到着されている方もいると思いますが、北風の寒さにいやになっていないでしょうか?また、インフルエンザも流行中のため体調管理に十分お気をつけください。ちなみに私は明日からDMAT訓練や研修のため5日間ほど上京しますが、JATECやDMAT研修の様子など適時報告しようと考えております。

コメント

このブログの人気の投稿

新年度集合写真

先日ブログでご紹介した新型コロナワクチン筋注方法について訂正があります

タカラトミーさんが当院を取材