未来に継ながる学校への着陸!

今日はドクターヘリの要請が朝方に3件、夕方に3件立て続けにあり、いろいろ調整した結果なんとか2件ずつ(計4件)出動することができました。朝方の出動では現場から直近の診療所に患者を搬送しヘリ到着まで治療を開始していただいたり、夕方の出動では傷病者が待機している病院でヘリ到着までの間に、ヘリ搬送に備えての気道管理やルート類の整理をしていただいていました。本当にありがとうございました。また、ドクターヘリの患者を引き受けていただいた各病院に心より感謝申し上げます。
昨日より急性期や重症ベッドのみならず一般病棟にも空きベッドが全くない状態が続いています。ベッドコントロールも追いつけず、救急車を受け入れても初療後に転院搬送に迫られたり・・・ちなみに北関東3県のうち茨城県と栃木県は救命救急センターが5病院ずつありますが、群馬県のみ2病院しかありません。救命救急センター 1病院と人口の関係は、栃木県 40万人、茨城県 59万人、そして群馬県 101万人となっています。何とかならないでしょうか?当直時間帯に入り救急車の受入要請は何とかすべて受諾していますが、すでに2名が当院救急外来で初療した後に転院搬送となっています。(受け入れていただいた病院に心より感謝いたします。)


(ここからが本題です・・・)

フライトスタッフが傷病者と接触するためには、当たり前のことですがドクターヘリが現場により近い地点に着陸する必要があります。その着陸点をランデブーポイントといい、あらかじめ消防側から設定されています。群馬県では現在約500箇所のランデブーポイントがありますが、そのうち学校のグランドが約200箇所も設定されています。よくよく考えると、特に小中学校は県内くまなく存在していますよね。そのうち本日まででドクターヘリが着陸させていただいた学校は、小学校19校、中学校15校、高等学校4校、大学2校の合計40校です。すでに5回も着陸させていただいてる学校もあります。


~群馬県ドクターヘリが着陸させていただいた学校~ 




2011年最初に着陸した学校は
高崎市立久留馬小学校です。
(私のいきつけの桃・梨直売所の近く!)
学校に着陸するとなると、授業の妨害になったり、体育の授業や休み時間のグランド使用を制限してしまうことになります。もちろん、学校が大切な試験や行事などの際はできるだけ避けようと消防側、ドクターヘリ側も考えています。またあるPTAの方からは、“学校にドクターヘリが落ちたらどうしてくれるんだい。”といったクレームもあったそうです。でも自分の子供がその学校で大きなけがをしたとき、それでもその学校は使うなと言うでしょうか?現在まで使用させていただいたどの学校でも、大きな事故なくミッションが完遂できておりますが、学校関係者や一般市民へのドクターヘリの啓蒙活動をまだまだ取り組む必要がありそうです。
 
 
 
 

群馬県内で最も着陸している
みどり市立笠懸東小学校。
(私も昨日おじゃましました。)

学校での活動においては大きな声援をいただくことが多く、フライトスタッフが厳しい環境や状況の中で傷病者を診療する際の大きな力となります。また、学校の先生方の働きと児童・生徒の皆さんの協力があってこそといつも実感しています。先日とある小学校の先生よりメールをいただき、“学校にドクターヘリが着陸すると知り、すぐに休み時間の予定を掃除の時間に切り替えて児童と現場の安全確保に努めました。”と言うことを教えていただきました。また、毎日宿題で日記を提出しているある中学校で、“ドクターヘリが着陸した翌日の日記では、9割近い生徒がドクターヘリの話題を書いていました。”と言うお話をうかがいました。とてもうれしいことです。




ヘリが離陸するまで安全確保していただいた
消防関係者、協力していただいた学校関係者の
皆さまに心より感謝いたします。
ドクターヘリが学校に着陸することで、児童や生徒の皆さんの心になにか訴えるものがあるでしょうか?最初に書いたように群馬県の救急医療はかなり追い込まれている現状です。若い皆さんのなかから一人でも“命の現場”で働こうと思うきっかけを与えられれば、こんなにうれしいことはありません。ドクターヘリが未来の救急医療への架け橋になることを願って、これからも群馬県の空を飛び回り時には皆さんの学校におじゃまします!

コメント

  1. いつもブログ更新お疲れさまです。くれぐれも体には気をつけて下さいね。陰ながら応援しています。

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  2. 医者の不養生なのか体調不良が続き、ブログ更新が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。いつも応援ありがとうございます。

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  3. はじめまして。
    青森ドクターヘリブログのリンクから飛んできていつも見ています。日々の勤務、そしてブログ更新、本当にお疲れ様です。

    確かに学校グランドはどこにでもあり、広いので便利そうですね。
    そしてグランドが一部でも芝生になればさらに最高ですね!

    ただ、「落ちたらどうするんだ」と言うクレーマーみたいな人もいるんですね…ちょっと信じられません。

    でも一般の方たちはドクターヘリが自分たちの「益」になっているか、だんだん分かってきているのではないでしょうか。ドクターヘリ事業を心の中で応援している人たちも多いと思いますよ。

    北国より群馬Dr.Heliを応援しています。ぜひこれからもがんばってください。そしてブログ楽しみにしています。

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  4. BBQさん、北国からの投稿ありがとうございます。私も地元が北国なので、とてもうれしく思います。今日の天気は大荒れではないですか?群馬県は雪は降りませんでしたが、冬型気圧配置に伴う強風のため、今日も群馬ヘリポートに避難中です。

    児童や生徒にとって、学校で学ぶ時間は本当に貴重な大切に時間だと思っています。ですのでこちらも決して無理にでも着陸させてほしいと言うわけではありません。しかし学校は街中にも郊外にもまんべんなくあり、特に街中では学校のグランドしか降りられる場所がないときもありますので、利用させていただける場合はこれからも積極的に使用させていただこうと思います。ちなみに、医療系の学校から“芝生がいたむから着陸をしないで欲しい”と拒否された話を聞いたときはさすがにショックでした・・・

    一般の方々の応援が多くなってきていることは、ひしひしと感じることができます。それに答えるためにも、さらに質の高い活動ができるようこれからも努力して行きます。

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  5. 町田先生、ドクヘリブログ楽しく拝見させて頂いています。

     学校へのランデブーポイントですが…色んな意見の方が居て正解かと思います。『学校にヘリが落ちたら…』とする意見も当然ですが、私も中学生と小学生の親とすれば心配ですが、事故を考える事よりも、1人の尊い命を救うためにはどのような事が必要で、何が自分には出来るのかを学ばせるためにも校庭への着陸は本当に意味があると思っております。低学年の子供であれば『今日、学校にヘリコプターが来たんだよ。誰かを助けるためなんだって。』と家に帰ってから話が出来れば、そこから会話も広がりますし、家族で命を考える事も出来ると思います。
     
     ドクターヘリ大変とは思いますが、これからも我々の最後の守護神として頑張って下さい。

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  6. 匿名さん。いつも温かいお言葉、本当にありがとうございます。
    子供たちにとっていつまでも夢がある、そして皆さんの命を守る希望の仕事としていられるよう、これからのがんばっていきます。

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  7. 【とある小学校の教諭】です。

    このブログ,いつも拝見させていただいています。
    私自身,医療従事者でもなく医療資格も持っていません。
    しかし,救急医療(救命)の必要性を切実に感じていると自負しています。
    私たち一般市民でもできる救命・生命の連鎖をつねに意識して,これからも頑張っていきたいと思います。

    町田先生!
    救命の連鎖の拡充に頑張っていきましょう!!

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  8. 皆様、たくさんの応援の言葉をありがとうございました。

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